[キリンチャレンジカップ2025、日本代表 3-0 ボリビア代表、11月18日、東京・国立競技場]
日本代表がボリビア代表に3-0で快勝した裏で、悔しさを口にした選手がいた。
今回の活動がA代表初招集となったGK小久保玲央ブライアン(ベルギー1部シント=トロイデン)だ。
今月14日のガーナ代表戦(2○0)、ボリビア代表戦と出番のなかった24歳は、この日の試合でサムライブルー指揮官としての通算100試合目を白星で飾った森保一監督からエールをもらっていた。

前日練習時の小久保(写真:浅野凜太郎)
試合後に森保監督から…
日本代表指揮官としての100試合目であり、来夏のFIFAワールドカップに向けた年内ラストマッチを勝利で祝った森保監督。
試合後の円陣では、選手たちから水をかけられるという手荒い祝福を受けたが、それよりも前に向かった先は、今回の活動で出場のなかった小久保のもとだった。
「これから先も全試合を観ているから。またここ(代表)に戻ってこられるように、頑張ってほしい」
指揮官は小久保の耳元で起用できなかったことを詫びつつ、期待の24歳にエールを送っていた。
柏レイソルの下部組織で育ち、2019年にポルトガル1部のベンフィカへ加入。昨年からはシント=トロイデンに活躍の場を移し、同年にはパリオリンピックにも出場した。
所属クラブで今季リーグ戦14試合に出場している経験を代表の舞台でも発揮したかったが、「飛んでくるボールやタイミング、プレッシャーもすべて違う」とレベルの高さを痛感させられた。

試合後に選手たちから水をかけられた森保監督
「(代表は)自分にとって夢のようなところだったので、『(自分の良さを)見せたい、見せたい』となってしまった。それが出さなければいけない安定感の逆を行ってしまったのかなと、映像を確認して思いました」
11月の活動では、GK早川友基(J1鹿島アントラーズ)が2試合ともフル出場し、安定感あふれるセービングと落ち着いたビルドアップで、クリーンシートでの勝利に貢献した。
両試合をベンチから見届けた小久保だが、もちろんチームの勝利が第一だと話す。だが欲を言えば、自分が出場して勝ちたかった。
「(代表が)初めてということもあって、焦りやプレッシャーがあった。その中でちょっと慌ててしまった部分もあったと思いつつ、もっと自分のプレーを落ち着いて示せていたら、もうちょっと試合に出られるチャンスがあったのかなと思っています」と悔しさをにじませた。

前日練習時の小久保(写真:浅野凜太郎)
その一方で、多くの学びもあった。
今回の活動では、早川とGK野澤大志ブランドン(ベルギー1部ロイヤル・アントワープ)をはじめとするGKグループとトレーニングを重ね、サムライブルーのアタッカー陣が放つ強烈なシュートを何本も浴びてきた。
「日本代表はレベルが違う。相手のプレッシャーがうまかったり、いつもなら見えている間のパスがなかなか通せなかったりすると、ハヤ(早川)くんが伝えてくれてた。やっぱりそこは試合に出てこそ一番吸収できると思う」と、この経験をクラブでの活動に生かし、次回活動予定の来年3月に日本代表へ戻ってきたい。
「また(代表に)呼ばれるときは、しっかりと安定しているところを見せたい」と決意を新たにした小久保。ベルギーの地でさらに成長し、代表の舞台で森保監督との再会を果たしてみせる。
取材・文:浅野凜太郎
