台湾有事・存立危機事態に関する高市早苗総理大臣の発言を契機に、急激に悪化している日中関係。

対日強硬姿勢を貫く中国では、「日本バッシング」が加速しつつあるとの見方も強い。

実際、中国版X(旧Twitter)として知られる微博(Weibo)を開くと、高市総理の発言や、沖縄の主権に関する議論などがトップページで大々的に表示され、中国のインターネット言論空間における日中関係悪化の影響を垣間見ることができる。

そうした中、Jリーグのサンフレッチェ広島、ヴィッセル神戸は今週、アジアチャンピオンズリーグエリートで中国の成都蓉城、上海申花との対戦が中国国内で実施された。

いずれのエリアも、政治的にはそこまでセンシティブな地域ではないため、現地で応援を行う日本人サポーターやクラブへの影響は少ないだろうという見方も強かったものの、過熱する対日感情の悪化を気にするサッカーファンが多く見られた。

しかしながら、実際に中国メディアの報道、各種SNSを見てみると、懸念されていたような事態はあまり観測されていない。

『捜狐』紙などの中国大手メディアのACLE関連報道を見ても、不甲斐ない結果に終わる中国勢を批判する記事が論調の大半を占めており、現在の日中関係と関連付けるような報道も行われていない。

中国メディア界は、報道などに当局からの規制が多い。

そのため「自由な報道」を求めるリベラルなジャーナリストの多くは、規制が少ないスポーツ報道に従事することが多く、そうした背景も、上記の実態に影響していると推察される。

また、微博(Weibo)などのSNS上で両クラブの中国語呼称である「广岛三箭」「神户胜利船」などで検索しても、試合内容に関する言及がほとんどであり、サッカーと政治は別物となっているようだ。

北京に在住している在中日本人からも「日本バッシングのようなものはそこまで感じない」「街中で日本語を話せない時期もあったが、今は問題ない」という声も出ている。

過激な日本バッシングは、一部インターネット上で中心的に見られる事象で、スポーツ界や現実社会ではそこまで存在感を発揮しているわけではないのではないだろうか。

国際政治情勢はこれからも混迷が続くことが予測されるが、スポーツ界は平和に今後も長く続いてほしいものだ。

筆者:田原隆夫(編集部)

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