今季J1で終盤戦まで優勝争いを繰り広げた京都サンガF.C.。

曺貴裁監督就任5年目で、チームが大きく飛躍したことにより、ホームの球技専用スタジアム「サンガスタジアム by KYOCERA」にはより多くのファン・サポーターが詰めかけるようになった。

そんなサンガスタジアムのある京都府亀岡市が26日、JR西日本が所有し、嵯峨野観光鉄道株式会社が運行する「嵯峨野観光鉄道(通称:嵯峨野トロッコ列車)」の線路施設群(橋梁および隧道等)が、国の文化審議会より文部科学大臣に対し、国登録有形文化財(建造物)として登録するよう答申されたと発表した。

画像: 嵯峨野観光鉄道

嵯峨野観光鉄道

嵯峨野観光鉄道は、京都市右京区のトロッコ嵯峨駅から亀岡市のトロッコ亀岡駅までを結ぶ、日本初の観光鉄道。京都サンガの試合を観に訪れた際に乗ったことがある方も少なくないはずだ。

今回、登録の答申を受けた対象は、京都市から亀岡市にまたがる全18基の土木構造物。そのうち亀岡市内に所在するものは隧道4基、橋梁8基の計12基だという。

これらは明治時代に建設され、現在も観光列車として両市を結び運用され続けていることから、「現役の産業遺産」として歴史的および技術的価値が国によって認められたことになる。

画像: 登録予定の隧道(トンネル)

登録予定の隧道(トンネル)

もともとは、明治32年(1899年)の京都鉄道(現在の山陰本線)開通当時に建設されたもので、保津峡の急峻な地形を克服するために投じられた当時の先端技術を今に伝える貴重な遺構だ。

煉瓦造による重厚な隧道や、渓谷を跨ぐ橋梁群は、保津峡の四季折々の自然景観と調和し、車窓からの眺望に深みを与えており、単なる過去の遺産に留まらず、現在も多くの観光客を輸送する「現役の産業遺産」として機能している点において、極めて高い価値を有している。

画像: 嵯峨野観光鉄道鴎谷橋梁

嵯峨野観光鉄道鴎谷橋梁

亀岡市内に位置する各構造物は、保津峡の景観を構成する不可欠な要素。とりわけ「嵯峨野観光鉄道鴎谷(かもめだに)橋梁」は、亀岡市と京都市の市境に架橋され、その歴史的価値の保全に向けては両市が緊密に連携し、意見具申を行ったとのこと。

今回の登録答申により、トロッコ列車は単なる景観鑑賞のための移動手段ではなく、「明治期の歴史と技術の体感」としての価値が加わったことになる。

画像: 嵯峨野観光鉄道番外六号橋梁

嵯峨野観光鉄道番外六号橋梁

今後の展望に関しては、明治期の土木技術と保津峡の雄大な自然が融合した景観こそが本質的な価値であると亀岡市。類稀な景観美と歴史的価値を市の重要な資産として発信していくという。

また、嵯峨野観光鉄道株式会社では、新型車両の導入が計画中。導入されれば今回評価された文化財的価値に対し、快適性や眺望性といった新たな付加価値が付与されることになるので、来年以降に京都遠征を考えている方はこちらも注目してほしい。

筆者:奥崎覚(編集部)

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