[J1第37節、FC町田ゼルビア 3-1 名古屋グランパス、11月30日、東京・町田GIONスタジアム]
町田はホーム最終戦で名古屋を3-1で下し、公式戦4連勝を達成した。
この日、後半17分から途中出場したMF仙頭啓矢はシャドーで起用され、積極的なラインブレイクや創造性あふれるプレーで観客を沸かせた。
アシスト記録も「何とも言えない気持ち」
「正直、何とも言えない気持ちです」
ホームでの最終戦に勝利した町田だが、仙頭は悔しげな表情でそう答えた。
2-1でリードした展開で迎えた後半27分だった。
右からのショートコーナーの流れから、日本代表FW相馬勇紀が中央へクロスを供給。
中央へ走り込んだ仙頭が反転しながら左足でボールを押し込むと、ゴール方向に向かうボールを元日本代表DF昌子源主将が左足で詰めて、チームのこの日3得点目を挙げた。
結果的に3点目をアシストする形になったが、今季リーグ戦25試合で1得点にとどまる仙頭は、昌子にそのままスルーしてほしかったと明かした。
「自分としては、本当に数字が欲しかった中で、反転してゴールまでの軌道は見えたので、それが自分のゴールにならず、正直何とも言えない気持ちですね」
昌子はこの得点シーンを振り返り、「ケイ(仙頭)がばりキレてた。『ほんまにごめん』と思った。でも咄嗟(とっさ)に触ってもうて…」と釈明。その後昌子は仙頭に謝ったという。
キャプテンからの謝罪を受けた仙頭は「(昌子)源くんは『ごめん』と言ってくれましたが、結果的にゴールになって良かったと思います」と笑顔で答えた。

25日に行われたAFCチャンピオンズリーグ・エリート第5節江原FC戦でもシャドーで躍動した仙頭 (C)Getty Images
ゲームはこのまま終了し、ホームに集まった1万2396人のサポーターへ勝利を届けた。
試合後には、ホーム最終戦セレモニーが行われ、ファンとともに天皇杯優勝を祝った。
同セレモニーでは、仙頭の家族も参加。子どもたちと笑顔で戯れる姿が印象的だった。
町田の背番号8は、「家族はいままで支えてきてくれたので、本当に感謝したいです。子どもたちにも、自分がサッカー選手をやっている姿を見せ続けたいと思っています。ゴールを決めたらよろこんでくれるので、そういう姿を見せ続けたいです」と家族への感謝の想いを語り、今後のさらなる活躍に意欲を示した。
町田は来月6日、午後2時からアウェイでJ1優勝の可能性を残す柏レイソルと対戦する。
仙頭にとっても2023シーズンに在籍した古巣だ。
仙頭は「レイソルは今シーズン、素晴らしいサッカーをしていて、そういうチームが優勝したら、またトレンドが変わるのかなと。だけど、それよりも自分たちがまず勝つというところ。何より目の前で優勝を見届けるのは辛いものがあると思いますので、しっかり次の試合に準備していきたいと思います」とこぶしを握りしめた。
「ここ最近、いいイメージを持っている」と意気込む町田の背番号8が、次こそチームを勝利に導くゴールを決めてみせる。
(取材・文 縄手猟)
