[J1第37節、FC町田ゼルビア 3-1 名古屋グランパス、11月30日、東京・町田GIONスタジアム]

名古屋はアウェイで町田に1-3で敗戦し、リーグ戦3連敗を喫した。

2点を追う名古屋は後半16分に、相手のハンドからPKを獲得。日本代表MF稲垣祥が右足キックでゴール左に蹴ってGKの逆を突き、1点差に迫った。

だが同27分に、町田に駄目押しの3点目を決められて敗れた。

画像: 昨年、名古屋をルヴァンカップ制覇に導いた長谷川監督 (C)Getty Images

昨年、名古屋をルヴァンカップ制覇に導いた長谷川監督 (C)Getty Images

退任する指揮官がピッチに送った若きドリブラー

今季限りでの退任が発表された長谷川健太監督は「内容的に、非常にいいサッカーがやれたんじゃないかと」と、前置きした上で「ただ、いいサッカーと強いサッカーは違う。今シーズンは、そういう詰めの部分が甘かったと思っています。しっかりと守るべきところは守る強さを持たないと、上には行けない」と語った。

同監督は、2005年に清水エスパルスの指揮官に就任して以降、ガンバ大阪やFC東京を率いて、J1通算268勝を挙げている名将だ。

2022年に名古屋の監督に就任すると、昨季チームを3大会ぶりのルヴァンカップ優勝に導いた。

だが、今季はシーズン途中から不振に陥り、残留争いに巻き込まれた。

先月12日には、長谷川監督の今季限りでの退任が発表された。

次節のホームゲームが名古屋でのラストゲームとなる名将は「来シーズン、新監督のもとで名古屋がさらに上に行くようなシーズンにつなげていくためにも、最終節は内容的にも勝負という部分に関しても、しっかりこだわったサッカーをしていきたい」と言葉に力をこめた。

画像: 昨年のルヴァンカップ2回戦大宮アルディージャ戦に出場した鈴木(写真左) (C)Getty Images

昨年のルヴァンカップ2回戦大宮アルディージャ戦に出場した鈴木(写真左) (C)Getty Images

長谷川監督はこの日、20歳のMF鈴木陽人(はると)を後半43分にピッチへ送り込んだ。

「出るからには、何か爪痕を残さないといけないと思った」と意気込んだ鈴木は、町田の日本代表DF望月ヘンリー海輝(ひろき)を相手に果敢にドリブルで仕掛けた。

名古屋の指揮官は、「勝負という部分にこだわって(鈴木を)使いました。非常に(高い)クロスの精度を持った選手なので、『一本でもいいから(クロスを)上げて来い』と言って、そこに(木村)勇大であったり、逆サイドに杉浦(駿吾)が逆から仕留めるように入ってくれば、もしかしたらワンチャンスあるんじゃないかというところで陽人を入れた」と、起用の理由を説明した。

また、「ヘンリー(望月ヘンリー海輝)とか、代表級の選手とやれたのは、彼の財産になったと思います。『クロスを上げられたのか?』という話をしたら、『ほとんど上げられませんでした』と話をしていたので、ああいう場面に入って一本、二本チャンスをつくれるようになると、今後出番も増えてくる。彼も毎日、居残り(練習)をしながら努力を積んでいる選手なので、ぜひ来季以降もがんばってもらいたい」と、才能の片りんを見せたドリブラーに期待を寄せた。

今年7月に行われた東アジアE-1選手権で日本代表デビューを飾ったGKピサノアレクサンドレ幸冬堀尾(こうと ほりお)とは名古屋のアカデミーでともに育ち、プロ1年目の同期でもある鈴木。

「ピサノからは大きな刺激をもらってる」と明かしており、プロ3年目となる来季は勝負の年となりそうだ。

長谷川監督がポテンシャルを信じてピッチに送り込んだ鈴木が、来季に向けてチーム再建を目指す名古屋のいい“置き土産”となるのか。今後の飛躍に注目していきたい。

(取材・文 縄手猟)

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