日本プロサッカー選手会(JPFA)が主催する『JPFAトライアウト』が17日に大阪府内で開催。
今季限りでJ1のFC町田ゼルビアを契約満了になった下部組織出身MF樋口堅は、自身と同じく各クラブから契約満了を言い渡されたJリーガーたちをピッチ上で鼓舞し続けた。
22歳で直面した困難をポジティブに乗り越えようとする姿は、町田の先輩DFと重なった。

ロングボールを蹴る樋口(写真:浅野凜太郎)
サウナで告げられたエール
「ナイスプレー!」と、はつらつとした声がグラウンドに響き渡った。
今季契約満了を告げられたJリーガーたちが集まるトライアウト。急造チームでミニゲームや紅白戦が行われるため、団結することはなかなか難しい。
そのため、各チームの年長者が率先して盛り上げる光景をよく見るが、この日は違った。青色のビブスチームで人一倍の声を出していた選手は、今季限りで町田を契約満了になった22歳の樋口だった。
「ここに来ているのはみんなプロなので、全員特徴を持っているし、その良さをガンガンに出してくる。その中で自分が(オファーを)つかみ取るためには、プレーがどうこうではなくて、もう声を出すしかない。
もちろん、きょうも足りなかった部分があったとは思いますけど、元気に『チームでやろうぜ!』って声を出そうと、後ろの選手としてやっていました」

声を出す樋口(写真:浅野凜太郎)
FC町田ゼルビアJrユース、FC町田ゼルビアユースを経て、2022年にトップチーム昇格。今季は育成型期限付き移籍していたJFL沖縄SVから復帰したが、公式戦の出場がないまま愛するクラブを去った。
もちろん苦しかった。
それでも切り替えて、この日のトライアウトに臨めた理由は町田の先輩DF菊池流帆(りゅうほ)の言葉があったからだ。
「強化部から契約満了を伝えられたときに、流帆くんが僕の家の近くに引っ越してきて、一緒にサウナへ行くことになったんです。そしたら流帆くんがサウナ室で『お前はスカすな。とにかくやれ。とにかくガツガツと行って、笑顔と元気でつかみ取ってこいよ』と言ってくれました。とにかくはっちゃけて、試合中から声を出していけば、運が来るって」

仲間に指示を出す菊池(写真:浅野凜太郎)
チームが苦しいときや、逆境に追い込まれたときにこそ、自らを奮い立たせるように声を出す菊池。
22歳の樋口は、「流帆くんはめちゃくちゃ愛情深いというか、めちゃくちゃ人間らしい。もう本当に“あのまんま”の人です(笑)」と、尊敬する町田の先輩DFになりきって、トライアウトを闘った。
