亡き大澤氏の想いをもとに…
小井土監督は国士舘大との対戦が決まったとき、今年2月に亡くなった国士舘大元理事長・大澤氏の存在が脳裏に浮かんだという。
「この大会にあたって、国士舘大学と(試合を)やるとなったときに、大澤先生のことが思い浮かびました。国士舘大学さんの想いは、もちろんリーグ戦のときから感じていましたし、試合を通じて執念みたいなものも感じました」
大澤氏は現役時代に、国士舘大サッカー部初代主将として活躍後、60年以上にわたり同大サッカー部を指導。JUFA(全日本大学サッカー連盟)理事長などを歴任し、日本サッカーの発展に尽力してきた。
昨年も国士舘大サッカー部のテクニカルアドバイザーを務めていた。

記者会見で故・大澤氏へ、感謝の想いを語った小井土監督(写真 縄手猟)
小井土監督は「実は、私たちが2014年に降格した年の閉会式、また翌年の開会式に、大澤さんが理事長で『筑波大は強くなくちゃいけないんだ』ということを叱咤激励していただき、その想いをもとに、この10年間チームづくりをしてきたつもりです」と、生前の大澤氏との秘話を回想した。
大澤氏の意志は国士舘大のみならず、小井土監督の指導を通じて筑波大にも受け継がれていたのだ。
今大会、国士舘大の選手たちも「大澤さんのために」という想いを胸に戦っていた。
その姿勢に敬意を示しながら、筑波大の指揮官は「改めて大澤先生に感謝の気持ちをお伝えしたいと思います」と静かに言葉を結んだ。
チームの垣根を越え、大澤氏の意志はいまも日本サッカーの現場に脈々と息づいている。
(取材・文・写真 縄手猟)
