[第104回全国高校サッカー選手権大会1回戦 鹿島学園高(茨城県代表)1-0 流通経済大柏高(千葉県代表)、10日、東京・MUFGスタジアム(国立競技場)]
鹿島学園高は流通経済大柏高を1-0で下し、同校史上初の選手権決勝進出を決めた。
この日、鹿島学園高のゴールマウスを守ったU-17タイ代表GKプムラピー・スリブンヤコ(2年、ムアントン・ユナイテッドU-15=タイ)は、191センチの長身と長い手足を生かしたセービングや、安定感のあるクロスボールの処理で、完封勝利に大きく貢献した。
「新しいサッカー人生をつくりたい」とタイから日本へ
プムラピーはプロ内定選手4人を擁する流通経済大柏高との一戦を前に、鈴木雅人監督から珍しく個別に声をかけられたと明かした。
「監督は試合前にあまりキーパーのことを言わないんですけど、きょうは『頑張って』『ゼロで終わりたい』と。自分も監督の言葉を意識して死ぬ気でやっていました」
同選手は、鈴木監督の期待通りのパフォーマンスを披露し、流通経済大柏高の強力な攻撃陣に最後まで得点を許さなかった。

プムラピーの191センチの長身を生かしたハイボールの処理は安定感抜群だった(写真中央奥 浅野凜太郎)
プムラピーはタイ1部の名門ムアントンの下部組織出身。2020年にテレビで見た国立競技場でのプレーに憧れて日本の高校サッカーに興味を持ったという。
中学時代は出場機会に恵まれず、タイではチャンスがないと感じ、「新しい人生をつくりたい」という思いから日本行きを決断した。
鹿島学園高の背番号1は、「日本の高校サッカーでやりたかったんですけど、お父さんがSNSで調べたら、鹿島学園があった。留学生も入れるし、サッカーもレベルも高いし、ここに決まりました」と、鹿島学園留学の経緯を語った。
登録の関係で公式戦に出場できない日々が続いたが、鈴木監督はプムラピーに試合経験を積ませるために練習試合を増やすなど、チーム全体で懸命にサポートした。

ボールをしっかりと抑え込むプムラピー(写真中央 浅野凜太郎)
また、日本に来た当初は言語面で苦労したという同選手だが、チームメイトと毎日会話を重ねるうちに日本語が上達。「今年のチームは関西(出身)が結構多いから、自分も関西弁喋れますよ(笑)」と記者を笑わせた。
現在は母と二人で日本に暮らしているが、この日は夢の国立での試合を見届けようと、タイから父と姉も駆けつけた。
「(試合後、)最初はあまり泣いていなかったんですど、親がめっちゃ泣いていて、自分も我慢できなくてめっちゃくちゃ泣いていました。苦しい時間も一緒に頑張って、ここまで来たら我慢できないです」
将来的にはJリーグでプロになる夢を抱くプムラピーだが、「選手権に出るためにやってきた」と決勝にすべてをかけている。
「神村はインターハイでも優勝しました。強いチームだと思っています。だけど、鹿島の仲間を信じます。怖くないです」
鹿島学園高は12日午後2時5分からMUFGスタジアムで神村学園と対戦し、悲願の選手権初優勝に挑む。日本とタイ、両国からの視線を一身に集める守護神の活躍に期待がかかる。
(取材・文 縄手猟 写真 浅野凜太郎)


