サッカーはトップに行くための手段
話を聞く中で印象的だったのが、木室さんにとってサッカー指導者が、サッカー界でトップに行くためにもっとも「可能性」があるというのだ。中学時代に志した時点で、研鑽を積もうと考えたという。
「人を動かすというところに凄く魅力を感じて。『これなら』という考えが生まれました」
オフシーズンには積極的に色々な人と関わりを持つようにしていると言い、筆者が知り合ったのも、とある経営者コミュニティだったりする。現在の大阪大学サッカー部にしても、数十名規模を統率していることでもあり、経営者とのコミュニケーションが大いに参考になるという。
反面、二足の草鞋生活は、“中途半端”に見られることも多いといい、そこに歯がゆさを感じることもあるという。
「僕はプライベートも含めて、どれも全力でやりたいんですよ」
そもそも、かつてはアルバイトをするなどしてギリギリの生活を送っており、そのような指摘はお門違いとしか思えないのだが、捧げることが好まれる悪しき風習でもある。
木室さん自身、同志社大学という関西を代表する名門を卒業しており、経済的な意味ではもっと“楽”な方法がある中で、休む間を惜しんで日々過ごしている点は記しておきたい。デュアルキャリアという生き方はもっと尊重されるべきであろう。
インタビュー終了後は、個別とAチームBチームそれぞれの指導に入った。そこには、確かに未経験者を微塵も感じさせない熱量のこもった指導者の姿が。今後は重要視しているという「旧帝大戦」で好成績を目指す。

インタビュー終了後は、髪を束ねて監督モードに。筆者撮影

学生たちを指導する木室監督(写真中央の白いキャップを被っている人物) 筆者撮影
そしてその旧帝大戦だが、2月10日から16日にかけて開催。結果はというと…見事に優勝を果たした。それもAチームBチーム揃っての完全制覇となる。
「僕ら(大阪大学)の理念のひとつに、『国公立大学をけん引する』というのがあるんです」
有言実行を果たした大阪大学。強豪私学相手にどう対峙するのか要注目だ。
ちなみに関西2部リーグは、1部優勝経験があり、粟飯原尚平(水戸)や昨年のJFL得点王である藤本憲明(福山シティ)など、OBに多数のJリーガーを輩出している近畿大学や、20回近い1部優勝経験と2度の総理大臣杯優勝経験を持つ大阪商業大学、同じく1部優勝や総理大臣杯準優勝経験を持つ桃山学院大学などが所属。
昨シーズンは、藤井智也(湘南)、茂平(大分)、國分伸太郎(山形)などの母校で、主要大会での優勝経験も豊富な立命館大学、宮大樹(名古屋)、松田力(富山)・陸(パトゥムユナイテッド)兄弟、堂安憂(堂安律の兄)などを輩出し、2022年シーズンには1部で準優勝したびわこ成蹊スポーツ大学が所属していた。※両校とも2026年シーズンは1部に復帰
関西学院大学(2023・2025総理大臣杯準優勝)、阪南大学(2024総理大臣杯優勝)、関西大学(インカレ優勝2回、総理大臣杯優勝1回)、京都産業大学(2023インカレ準優勝)、大阪体育大学(インカレ優勝2回、総理大臣杯優勝3回)、そして木室さんの母校同志社大学など、全国でも有数の名門校が1部に名を連ね、そうした面々としのぎを削った強豪校が、時に2部での戦いを余儀なくされるほど競争が激しいのが関西学生サッカーリーグだ。
その中で「旧帝最強」となった大阪大学がどう挑むのか。春の開幕を心待ちにしたい。
取材・執筆:向山純平


