昨季限りで現役を退いたはずの伝説の左腕が、キャリア最後の「バケットリスト(死ぬまでにやりたいことリスト)」を叶えるために戦場へ戻ってきた。2025年にドジャースで自身3度目のワールドシリーズ制覇を成し遂げ引退したクレイトン・カーショウが、2026年WBCのアメリカ代表として異例の参戦を果たしている。
例年、所属チームとの契約や保険などの影響で、アメリカ代表の投手陣は球数制限などが厳しいが、昨季で引退となるカーショウは後先を考えずに全力で挑める。アメリカ野球史に残るレジェンド左腕の「本気モード」は日本をはじめ、対戦国の脅威となることは間違いない。
そうした中、月曜日に地元紙『ロサンゼルス・タイムズ』の取材に応じたカーショウは「WBC以外の理由でユニフォームを着ることはない。これは特別なことだ」「私にとっては、(WBCに出場することは)一生に一度のやりたいことリストなんです。」と語り、代表への熱い思いを明かした。
しかし、かつての同僚である日本の大谷翔平との対戦について問われると、驚きの回答が返ってきた。
カーショウは、ポール・スキーンズやローガン・ウェブら強力な先発陣を擁する今大会のアメリカ代表において、自身の登板機会は限定的であると予想。さらに、冗談を交えつつも「我が国の利益を考えるなら、おそらく私が(大谷と)対戦しない方がいいだろう」と、自虐的なコメントで周囲を沸かせたのである。
38歳を迎える殿堂入り確実の左腕は、昨季終盤に防御率6.00を記録するなど、かつての圧倒的な支配力に陰りが見えていることを自覚している。世界最強打者の一人である大谷翔平を前に、レジェンドが示したこの異次元の謙虚さとユーモアは、全米のファンに衝撃を与えている。
「準備はできている」と語る一方で、自国の勝利を最優先に考えるカーショウ。伝説の終幕を飾る舞台で、果たして大谷翔平との運命的な再会は実現するのか。その幕引きから目が離せない。
筆者:田原隆夫(編集)

