野球の国際大会で、メキシコ代表選手たちがベンチを丁寧に清掃する姿が、日本の「おもてなし」の精神を彷彿とさせ、国際的な共感を呼んでいる。
現在日本やアメリカで行われているワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、メキシコ代表は現地時間8日、1次ラウンドのブラジル戦前にベンチ内をモップで掃除し、ゴミを集める様子が捉えられた。
この光景を、メキシコのスポーツメディア『ESPN Mexico』のギレルモ・セリス記者が、X上に投稿。動画では、赤いユニフォーム姿の選手が床を拭き、散らばったゴミを拾う様子が映し出されており、セリス記者は「メキシコチームは常にベンチの清潔さを気にかけている。日本人は最もきれいなベンチだと自慢することはもうできないね」とユーモアを交えてコメントした。
日本では、侍ジャパンが試合後にベンチを掃除する習慣が長年根付いており、これは「来た時より美しく」という日本の文化的な価値観を体現している。
たとえば、大谷翔平がグラウンドのゴミを拾う姿は、海外メディアで「善行」として度々取り上げられ、伊藤園の社会貢献活動「ゴミ拾いしなくっ茶」プロジェクトにもつながった。
こうした日本の影響は、メキシコ代表にも波及。セリス記者の投稿によると、この習慣のきっかけは2022年にソフトバンクホークスに在籍していたメキシコ人投手、ルイス・アルメンタが練習試合後にゴミを片付けたことにあるという。
メキシコ代表のベンジ・ギル監督が理由を尋ねると、アルメンタは「日本にはこういう文化がある」と説明し、以後メキシコチームに定着したという。このエピソードは、スポーツを通じた文化交流の好例として注目されている。
アメリカなどではこうした清掃習慣が珍しいため、セリス記者の投稿は世界的に拡散。日本のファンからも、メキシコ代表の行動を称賛する声が上がった。
X上では、「良い習慣が広がるのは良い、日本独自じゃなくなる日が来たら嬉しい。Gracias, México」「日本の古くからのことわざで、『立つ鳥跡を濁さず』という言葉があるけど、それが世界に浸透して行っていると思うだけで嬉しいね」など、好意的な反応が相次いだ。
一方で、「日本は自慢するためにベンチを掃除してません、『来た時よりも美しく』この舞台を用意してくれた方達のために綺麗に使う、そして感謝の意味を込めて掃除してます。」というコメントもあり、セリス記事の投稿については賛否両論あるようだ。
このような国際的な広がりが、野球という共通の舞台で、互いの文化を尊重する絆を強めるきっかけとなるだろう。
筆者:江島耕太郎(編集部)

