Qolyアンバサダーのコラムニスト、中坊コラムの中坊氏によるコラムをお届けします。

2026年北中米W杯に向けた誤解

まもなくFIFAワールドカップ2026が開幕するが、それにあたって気になっていることがある。

それは、日本サッカーの進化・発展・成長を示す指標が「W杯の結果だけ」になっているような雰囲気が、危ないし大きな誤解だということ。

事前に断言するが、仮に日本がW杯でベスト8へ行こうが、優勝しようが、「サッカー強豪国!」や「世界一の発展!」などと自分は絶対に言わない。

逆に、残念な内容で決勝トーナメントに進めずグループリーグ敗退しても「日本サッカー終わった」などと言わない。

W杯の成績ももちろん重要だが、それだけでその国のサッカーを判断するのは短絡的すぎる。もっと総合的に見て判断すべき、という話だ。

本来、W杯の結果だけでその国のサッカー界が左右されるものではなく、あくまで国内のリーグ戦がベースにあるもの。

これは日本だけではない。

残念な結果に終わっている大国の例

例えばドイツ。

2018年ロシアW杯、2022年カタールW杯、2大会連続でグループステージ敗退に終わっているが、だからといって「ドイツのサッカー界は終わり、ブンデスリーガも魅力を失った」とはならない。W杯の結果と自国サッカー界の発展はそこまで強い相関性はない。

もしくは、イタリア。

2018年ロシアW杯、2022年カタールW杯、2026年北中米W杯と3大会連続でW杯出場を逃しているが、だからといって「イタリアは弱小国、セリエAはJリーグ以下」とはならない。

確かに90年代と比較すればレベルは落ちているのは間違いないが、それでもセリエAはヨーロッパの5大リーグの一角であることは変わらない事実だ。

素晴らしい結果を残した国の例

一番わかりやすい例は韓国。

2002年日韓W杯で韓国は(判定問題を厳しく指摘されながら)4位という結果を残した。

しかし現在、韓国KリーグはアジアNo.1のリーグになってはいない。Kリーグの観客動員数やクラブの経済規模はJリーグよりはるかに劣っている。W杯で結果を出したからといって自国サッカー界の発展には直結していない。

もしくは、クロアチア。

2018年ロシアW杯で準優勝、2022年カタールW杯で3位と素晴らしい結果を残した。

ただ、クロアチアリーグはヨーロッパの中で高い位置にはいない。W杯でクロアチアより結果で劣後しているポルトガルの方が、リーグレベルではクロアチアよりは上である。

サッカーの進化・発展・成長を示す指標とは

日本サッカーの進化・発展・成長を示す指標は様々なものがある。

2002年の日韓W杯。あの24年前と比べて、Jリーグクラブの経営規模は大きくなったか。サッカー人口が若年層やシニアも含め増えたか。Jリーグの観戦者が増えたか。国内でサッカースタジアムやフットサル場が増えたか。ヨーロッパでプレーする日本人選手が増えたか。観戦のために有料チャンネルを契約している人が増えたか。Jリーグのクラブ数が増えたか……等々、W杯の結果よりもっと重要なものがある。

W杯は4年に一度の“お祭り”であり、様々な偶発的要素含む戦い。

だからこそ、「勝ったから全て良し」、「負けたから全てダメ」というものでは決してない。

日本でサッカーが日常に根付いているかどうか、二週間に一度スタジアムに足を運ぶ人がどれだけいるのか、そういった土着的な部分がはるかに大事である。

当然ながらW杯で日本を応援する。

ただし、その結果如何で日本サッカーの全てが決まったかのように歓喜したり悲観したりはしない。

日本サッカー界が地道に発展し続けている中で、いつの日かW杯で結果が出てくることもあるだろう。国内リーグ戦や施設の充実、そしてサッカーファンとメディアの深まりや拡大、その先にW杯での結果が追い付いてくるもの。順番を誤解している風潮は良くない。

筆者:中坊(中坊コラム)

1993年からサッカーのスタジアム観戦を積み重ね、2025年終了時点で1,029試合現地観戦。特定のクラブのサポーターではなく、関東圏内中心でのべつまくなしに見たい試合へ足を運んで観戦するスタイル。日本国外の南米・ヨーロッパ・アジアへの現地観戦も行っている。
中坊コラム:https:note.com/tyuu_bou X:https:x.com/tyuu__bou

画像提供:Getty Images

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