日本時間では18日の朝8時からキックオフされる、ワールドカップ2026グループステージ第1節のガーナ代表対パナマ代表。

パナマは2018年以来2回目の出場。FIFAランキングでは34位と歴史上でもかなり高い位置につけているが、まだワールドカップで1つも勝点を取ることができていない「アウトサイダー」である。国内リーグもまだ未成熟で、人口460万人ほどの小さい国だ。

また、多くの国が帰化選手や二重国籍の選手を抱える中、パナマ代表の26人は全員が母国生まれ。その中で各選手は積極的に国外のリーグに挑戦し、地道に強化を進めてきた。

そのチームの中で代表キャップ159を重ねている重鎮がアニバル・ゴドイ。現在MLSのサンディエゴFCでプレーしているボランチだ。彼が今回『sandiegouniontribune』のインタビューに応え、貧困から抜け出してきた壮絶なサッカー人生を明かしたという。

彼の父親はクリストバルという名前で、国内リーグでプロとしてプレーした代表選手だったが、給料はなんと月給150ドル程度だった。そのためプロとは名ばかりで、フルタイムで車の修理工として働いていたとのこと。

そんな家庭で両親、兄、祖母とともに小さな木造アパートで生まれたアニバル。その生活を彼は以下のように振り返っている。

「木造のアパートだった。4階建てだったけど、全部木でできていてね。いつも少し揺れるんだ。いわゆる『ゲットー』と呼ばれる厳しい地域で育った。家にはお金がなくて、家族は僕を学校に通わせるために必死に戦っていたよ。楽な生活じゃなかった。『靴はこれ一足しかないぞ。新しいのを買う余裕はないんだから、大事に履けよ』と言われて育ったんだ。

だから、持ち物を大切にすることや、お金を貯めることを学んだ。そして、家族のために誇りを持って戦わなければならないんだと気づかされたんだ」

その出自から、彼は10代からプロサッカー選手を目指し、国内リーグで契約を勝ち取るも、月給はわずか175ドル。父と同じようにキッチンの設置作業や建築現場でのコンクリート打ちをこなし、午後3時に仕事を終えるとすぐに45分をかけて練習場へと向かっていた。

19歳のときにはスペインの複数クラブでトライアウトを受けることに成功したが、結果は不合格。母国で3年プレーした後にアルゼンチンのゴドイ・クルスへと移籍するも、加入時の監督がすぐに解任されてしまい、1年間全くプレーできなかったという。

そんな彼に転機が訪れたのは2013年のCONCACAFゴールドカップで、パナマはグループステージと準決勝でメキシコを破るなど大躍進。決勝でアメリカに敗れたものの、そのスタンドにいたホンヴェード(ハンガリー)のスカウトに見初められ、23歳でついにヨーロッパへと渡ることになった。

そして2017年からはアメリカ・メジャーリーグサッカーへと移籍し、それから長く選手として活躍。パナマ代表でも出場を重ね、ベテランとして若手を束ねる立場になった。

「僕を形作ってくれたのは父の教えなんだ。彼が教えてくれたのは、戦術や技術じゃない。大切な瞬間や苦しい時に、いかに強く、タフな男であれるかということだった。

僕のプレーを見てくれればわかる。チームを助けるためのプレーだ。自分がピッチで最高の選手かどうかなんて、そんなことに興味をもってはいけない。たとえ自分一人が最高でも、チームが負けたら意味がない。勝ちたい、チームを勝たせたい。それだけなんだ。

このチームは純度100%のパナマ人でできている。僕らには何百人もの代表候補がいるわけじゃない。そんな小さな集団だけど、その分心に誇りがあるんだ。パナマを倒したいなら、相当な覚悟で戦いに来ることだね。

競争は大歓迎だ。僕らは本当に強いチームだ。クオリティだけじゃない、血の中に流れる競争心が違うんだ。イングランド、クロアチア、ガーナという厳しいグループなのはわかっている。相手にはもっと高いレベルでプレーする素晴らしい選手がたくさんいるだろう。

でも、僕らには戦う精神がある。それを世界に見せつけてやるんだ。何が起こるかわからない、それがサッカーだからね」

ワールドカップにおいて、まだ歓喜を味わっていないパナマ。前回大会ではベルギーに0-3、イングランドに1-6と大敗しているが、ゴドイの左手にはその際に描いたW杯トロフィーのタトゥーが入っている。

そして今大会の予選を突破した時、ゴドイは右手にも同じトロフィーのタトゥーを加えた。両手に刻んだ栄冠の願いを込めて、パナマは歴史上初のポイントを狙う。

筆者:石井彰(編集部)
画像提供:Getty Images

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