サッカーの北中米ワールドカップ(W杯)は、現地時間6月20日(日本時間21日)にチュニジア代表と対戦。前半4分に鎌田大地選手の2戦連発ゴールで幸先よく先制すると、上田綺世選手の2ゴールや、伊東純也選手の得点も決まり、4対0の快勝。勝点4でグループ2位に浮上し、決勝トーナメント進出に大きく前進した。

突然の監督交代に揺れるチュニジア代表戦に出場した日本代表選手のパフォーマンスを、ブラジルでプロ選手としてプレーした経験を持ち、『サッカーに詳しすぎる市議会議員』としても知られる桐木優氏にチュニジア戦に出場した日本代表の戦いぶりを振り返ってもらった。

画像1: (C)Getty Images

(C)Getty Images

日本代表・先発メンバー:GK 鈴木彩艶 DF 板倉滉 伊藤洋輝 冨安健洋 MF 田中碧 堂安律 中村敬斗 伊東純也 鎌田大地 佐野海舟 FW 上田綺世

チュニジア代表・先発メンバー:GK アイメン・ダーメン DF アリ・アブディ モンタサール・タルビ オマル・レキク ディラン・ブロン ヤン・バレリー MF ハンニバル・メイブリ エリス・スキリ アニス・ベン・スリマン  FW セバスティアン・トゥネクティ

幸先の良い先制点で、波に乗る

画像2: (C)Getty Images

(C)Getty Images

試合序盤の前半4分に、GKの鈴木彩艶選手からボールを受けた冨安健洋選手が、トップの上田綺世選手ではなく、トップ下の鎌田大地選手にグラウンダーの縦パスを通し、鎌田選手はそれをワンタッチで上田選手に逸らす。ボールは田中碧選手を経由すると、中村敬斗選手がえぐって折り返し、ボールは鎌田選手に当たってゴールの中へ。オランダ戦に続きまたしても鎌田選手の「ゴール前でボール見ていないのに当たったゴール」により幸先よく日本代表が先制します。

4分 日本代表1-0チュニジア代表

修正しないチュニジア代表にアジャストする日本代表

その後、試合のペースを握る日本代表は、冨安選手から上田選手へ一発裏からのワンタッチシュートや、左コーナーから流れたところに上田選手の1mmで決め切れなかったりな展開になります。

この試合の日本代表は、とにかくネガティブトランジションが早い。

暑いので、たくさん走りたくない。そんな時は、頑張りどころはボールを取られた瞬間だけにして、なるべく守備で走らされないようにしたいものですよね。

2試合連続で大量失点を喫しているチュニジア代表は、早々に失点したせいもあってか、徐々にそんな選手たちの心情が垣間見えるように元気がなくなっていきます。試合開始当初はコンパクトに守備も頑張っていましたが、前半10分くらいからは徐々にプレスも減り、20分くらいにはほとんどプレスも見られなくなりました。そして、この変化に気づいた日本代表は、それまでのロングパス主体の攻撃から、ショートパスを繋ぐ方向に転換して追加点を狙うようになってきたところで、ハイドレーションブレイクを迎えます。

チュニジア代表がプレスかけられなくなったタイミングでのハイドレーションブレイクだったので、チュニジア代表がラインを下げてくるかなと思いましたが、意外にも中間のポジションを取り続けてくれました。精神論的な作戦かな。そのため中断前と同様にチュニジア代表の攻撃の芽を佐野海舟選手が全て刈り取りながら、日本代表は縦パスからのワンタッチでリズムを刻みながらゴールに迫ります。

前半31分には、板倉滉選手のパスカットからの縦パスが上田選手へと通り、それをゴールにぶち込み追加点を奪います。

31分 日本代表2-0チュニジア代表

カウンターのリスクを最小限に抑えながら戦う日本代表

画像3: (C)Getty Images

(C)Getty Images

その後もチュニジア代表が狙いである左サイド攻撃を目論むも、その前に佐野選手がチャンスを摘み取り、ゴールに迫れず。今度は右サイドからロングキックで左サイドを狙うも、そこは冨安選手が確実にカバーし、右サイドの堂安律選手が相手DF陣に押さえつけられる場面もほとんどない展開で後半へ突入します。この暑さでも走り回れる伊東純也選手の存在も大きい前半戦でした。

後半に入ると、チュニジア代表のカウンターを警戒するあまりに安全なパスが増え、ややリズムを崩しかけるも、田中碧選手が一瞬のスキを見逃さず、最終ラインから上田選手に縦パスを入れると、その上田選手はワンタッチで伊東選手に繋ぎ、伊東選手がそのままドリブルからゴールに流し込み、試合を決める追加点を奪います。

 69分 日本代表3-0チュニジア代表

チュニジア代表唯一の勝機

画像4: (C)Getty Images

(C)Getty Images

さて、日本代表の3点目が決まる直前、チュニジア代表は試合を優位にするためのわずかな兆しに気づきます。

10番のハンニバル・メイブリ選手が、この試合ではじめて右サイドに流れていったことで、チュニジア代表はこの試合で唯一の決定機を作り出すことに成功したのです。そこで後半19分に選手交代を行い、ハンニバル・メイブリ選手を右サイドにポジションチェンジさせます。

その直後に日本代表に追加点が入ったこともあり、「そのまま放っておくのかな?」と思いましたが、森保一監督は違いました。鎌田選手に代えて鈴木淳之介選手を投入し、そのわずかな隙間をも埋めに来たのです。

決して油断や慢心のない日本代表になすすべないチュニジア代表は、後半38分ビルドアップで上田選手と田中選手に挟まれたプレッシャーに耐え切れずミスを犯してしまい、カットした佐野選手がそのまま駆け上がり、サイドで受け直してからのセンタリングを、上田選手が滞空時間の長いヘディングでゴール。チュニジア代表の心をへし折るダメ押し点で試合を飾りました。

 83分 日本代表4-0チュニジア代表

次戦に向けた4つの提言

この試合の日本代表は、カウンターからの攻撃は冴えましたが、サイド攻撃はあまり見られませんでした。暑さも理由の一つに挙げられると思いますが、オランダ戦で守備に追われた両ワイドが、やや消耗しているようにも感じます。次戦以降どう立て直すのか、また狙われ、押し込まれるワイドを、強豪チームと対戦するまでにどう機能させていくのか、森保一監督の手腕が問われます。

ワントップの上田選手は、2得点を挙げましたが、ボールの収まり具合やシュートのタイミングなどにおいて、十分機能しているとは言い切れかったように感じます。これからさらに相手センターバックの強度が上がっていく中で、ワントップをどのような位置づけにするのか、システム変更も視野に入れていくのか、ワントップのプレースタイルを修正するのか、上位進出に向けては大きな課題となりそうです。

また、審判との相性も気になります。この試合でも、明らかにファウルに思えるチャージが流される場面が散見されました。また、伊東選手が相手のタックルを受けてスパイクが脱げてしまったとき、グラウンドから出てはき直すよう言われていたように見えましたが、治療ではないので、おそらくこの運用はおかしいのではないかと思われます。この辺りの対応や、統一見解についてははっきりされたいところです。

最後に、暑い中ということもあると思いますが、全体的にミスが多い試合でした。それだけでなく、無駄にボールを浮かすケースも見受けられました。

疲れてくると腰が入らなくなるのでボールが浮きがちですが、浮き球はトラップで狙われやすいので、カウンターを受けやすかったり、怪我の原因になったりします。先の試合に向けて調子を上げていく段階にあるのなら良いのですが、自らリズムを手放すことのないよう、味方が受けやすいパスを出すために、しっかり腰を入れて膝下でボールを抑えて、味方にパスするように心がけてほしいと思います。

「勝負の神は細部に宿る」と言います。一つ一つの小さい心がけを積み重ねることで、日本代表の武器であるチームワークを更に磨き上げてほしいものです。頑張れニッポン!

画像: 次戦に向けた4つの提言

〈桐木優・プロフィール〉

1977年静岡県生まれ。韮山高校を卒業後、単身ブラジルにサッカー修行に渡り、無事にプロ契約を勝ち取るも、試合中に後ろからカニバサミを喰らって、泣く泣く引退に追い込まれる。
日本でのサラリーマン生活を経て、介護会社を起業。その後は現場の声を政治に届けるために一念発起し、2011年の多摩市議会議員選挙に初当選を果たした。

 自身のホームページに何気なく掲載した「東京ヴェルディ観戦記」が注目を集め、『サッカーに詳しすぎる市議会議員』として知られるように。近年は幅広く社会保障全般に携わる『肩書きの多すぎる市議会議員』としても存在感を示している。

主な資格・職業は、多摩市議会議員の他に、ケアマネジャー、相談支援専門員、保育士、社労士、行政書士、宅建士、管理業務主任者、公認心理師、はり灸マッサージ師、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、サッカーC級コーチ、サッカー3級審判員等

執筆:桐木優
写真:Getty Images、本人提供

This article is a sponsored article by
''.