サッカーの北中米ワールドカップ(W杯)はグループFの最終戦が行われ、1勝1分で勝点4の2位につける日本代表は、6月25日にダラスで(日本時間26日)にスウェーデン代表と対戦。
56分に前田大然のゴールで先制するも、62分にアントニー・エランガの得点で追い付かれ、1-1の引き分け。勝点5のグループ2位で、決勝トーナメント出場を果たした。
ブラジルでプロ選手としてプレーした経験を持ち、『サッカーに詳しすぎる市議会議員』としても知られる桐木優氏に、スウェーデン戦を振り返ってもらった。

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日本代表
GK :鈴木彩艶 DF :板倉滉、 瀬古歩夢 、伊藤洋輝
MF:菅原由勢、田中碧、堂安律、前田大然 、中村敬斗 、鎌田大地
FW 上田綺世
スウェーデン代表
GK ヤコブ・ヴィデル・ゼッテルストレーム、
DF グスタフ ラゲルビエルケ、ビクトル・リンデロフ、イサク・ヒエン
MF ガブリエル・グズムンドソン 、アレクサンダー・ベルンハルトソン 、 エリオット・ストラウド、ヤシン・アヤリ
FW アレクサンデル・イサク、ビクトル・ギェケレシュ、アンソニー・エランガ
絶対に負けたくはない戦い

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グループリーグ最終戦、日本代表対スウェーデン代表の一戦は1-1の引き分けに終わり、両チームともにグループリーグ突破を確定させました。
さて、キックオフ。
両チームとも負けなければ決勝トーナメント進出が決まるということもあり、とにかくどちらも「絶対に負けたくはない戦い」。いつもの「絶対に負けられない戦い」とは一味違います。
負けないためには、得点できなくとも、失点さえしなければいい。
現代サッカーにおける主な得点パターンは、ハイプレスからのショートカウンターか、プレスをかいくぐる形でのカウンターなので、(あとはプレイスキックもあるけど……)とにかくカウンターさえ受けなければ失点はしづらい。
スウェーデン代表は、強力なアタッカー陣が前線で守備もせずにウヨウヨしているので、そこをめがけてロングボールを蹴り込めば、途中で奪われてカウンターを受ける心配はなし。
対する日本代表も、縦パスを中に通そうとして、インターセプトされたりしなければ、たとえ外で奪われても、戻る時間があるのでカウンターを受ける心配はなし。
でも「できれば先に1点くらい取って安心して試合進めたい」という“スケベ心”や、予選突破の条件を十分理解していなくて、「リスクを冒してでも点を取らないと、サッカーは勝てないんだよ!」と正論をぶつけてくる選手の姿も見え隠れ。
一見何の変哲もない退屈な試合展開の裏で、高度な心理戦が繰り広げられます。
なお、攻撃についてはスウェーデン代表が板倉滉選手に勝つことと、日本代表がワイドで仕掛けることで試合が絶妙なバランスを保っていました。
田中碧選手が相手ゴール前の付近で、ボールを奪えそうになってしまっていて、「どうなることか」と思いましたが、なぜか主審が全部ファウルを取ったので、幸か不幸かそのバランスが崩れることはありませんでした。
ただスウェーデン代表の3トップ、ヴィクトル・ギェケレシュ選手(アーセナル)、アレクサンデル・イサク選手(リバプール)、アンソニー・エランガ選手(ニューカッスル)の3枚は、それぞれが「エグい」ほどの攻撃力を持ち併せているので、そのままで放っておくと日本代表は押し込まれ、やがて失点するのが必至。
そこで前半39分という早いタイミングに、コンディションのあまり良くない板倉選手に代わって、「ごちゃごちゃ」に強い谷口彰悟選手を投入します。

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谷口選手は「イケメン」なだけではなく、「ごちゃごちゃ」への対応や、サイドへのミドルパスも出すことができる選手です。
谷口選手のミドルパスは早く逆サイドに到達するので、それまでの“各駅停車ショートパス”によるサイドチェンジでは出来なかった、ワイドで仕掛ける時間が作れるようになりました。
その後の日本代表は、堂安律選手が左サイドまで出張するようになったこともあり、シュートチャンスが作れるようになりますが、上田綺世選手があまりゴール前にいてくれないこともあって、得点には至らずに前半が終了。上田選手は点取るのが上手い選手なので、シュートを打てるところにいてくれないと困ります。
日本代表0-0スウェーデン代表
ワイド攻撃にバリエーションを持たせて得点に繋げた

(C)Getty Images
前半の日本代表は、ワイドの選手がドリブルで仕掛けることと、サイドのセンターバックがオーバーラップすることでワイド攻撃が成り立っていました。
後半に入ると、そこに「ワイド攻撃にシャドーがポケットに走り込む」というパターンが加わります。
すると後半11分、日本代表はワイドを起点にした攻撃が続き、右から左、左から右とボールが展開されると、菅原由勢選手からのくさびのパスが堂安選手へ。
上田選手とのパス交換で前を向いた堂安選手が、前田大然選手にスルーパス。前田選手は正確なトラップからボールをゴールに流し込み、日本代表は先制に成功します。
日本代表1-0スウェーデン代表
ワールドカップ、前田選手の先制…、何かを思い出すような、何だったっけなあ……。
先制するも引いて守り切れなかった

(C)Getty Images 5大会連続出場の長友佑都選手
先制した後は、極端に引いて守る日本代表。中村敬斗選手がソックスを履き替えていたので、一時は10人で守っていたみたいですが……。こういったことは試合前に確認しておかないんですかね?
「ソックス事件」を凌いだ日本代表ですが、ほどなくして戦況を「理解していないタイプ」のプレーヤーの一人、スウェーデン代表・エランガ選手の個人技から、クロス気味のボールがそのままゴールに吸い込まれ、後半17分に日本代表は同点に追いつかれます。
日本代表1-1スウェーデン代表
ワールドカップ、前田選手の先制、何だったっけな…。
その後は日本代表が決定的なミスを犯すも、GK・鈴木彩艶選手の安定感やDF陣の粘りで失点は許さず。鎌田大地選手が一発裏を狙うも、うまく繋がらず。途中出場した長友佑都選手の「マンマ・ミーア」で試合は終了。
日本代表1-1スウェーデン代表
日本代表は勝ち点1を上積みし、1勝2分の勝ち点5。グループ2位で予選突破を決めました。1日未明に行われる決勝トーナメント1回戦で、ブラジル代表と対戦します。
スウェーデン戦から見えたブラジル代表戦に向けた覚悟

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日本代表は、この試合にシャドーに「外で待つタイプ」の堂安選手と、「足元よりも違う特長の強い」前田選手を起用しました。これを見ると試合前から、前線からの守備にきちんと対応しつつも、外回しからのワイド攻撃が想定されていたように思います。
ゴール前に放り込まれていて、プレイスキックの怖さもある試合終盤に高さのあるプレイヤーではなく、長友選手が出てきたのは少しビックリしましたが、体調不良により出場機会がなく、ブラジル代表に「バレていない」町野修斗選手を除いたフィールドプレイヤーがゲームに出場したことは、チームに何らかの意味をもたらしてくれるのかもしれません。
このスウェーデン戦の試合結果により、日本代表の決勝トーナメント1回戦の相手はサッカー王国・ブラジル代表になりました。
森保一監督は今日の試合を通して、守備的になるであろう次戦に向けた準備をしていたように思います。日本代表はこれまでも「格上」と言われるチームに対して、結果を残し続けてきました。森保ジャパン8年間の集大成を全力で応援したいと思います。
頑張れニッポン!

〈桐木優・プロフィール〉
1977年静岡県生まれ。韮山高校を卒業後、単身ブラジルにサッカー修行に渡り、無事にプロ契約を勝ち取るも、試合中に後ろからカニバサミを喰らって、泣く泣く引退に追い込まれる。
日本でのサラリーマン生活を経て、介護会社を起業。その後は現場の声を政治に届けるために一念発起し、2011年の多摩市議会議員選挙に初当選を果たした。
自身のホームページに何気なく掲載した「東京ヴェルディ観戦記」が注目を集め、『サッカーに詳しすぎる市議会議員』として知られるように。近年は幅広く社会保障全般に携わる『肩書きの多すぎる市議会議員』としても存在感を示している。
主な資格・職業は、多摩市議会議員の他に、ケアマネジャー、相談支援専門員、保育士、社労士、行政書士、宅建士、管理業務主任者、公認心理師、はり灸マッサージ師、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、サッカーC級コーチ、サッカー3級審判員等
執筆:桐木優
写真:Getty Images、本人提供
