ワールドカップの決勝トーナメントで、PK戦の重要性が改めて高まっている。今大会のラウンド32では、すでに複数の試合がPK戦で決着をみた。ドイツはパラグアイに敗れ、オランダはモロッコの前に多くのシュートを失敗して散った。

その中で、開催国の一つであるアメリカ代表はPK戦に備えてユニークな準備を進めてきたようだ。『talkSPORT』によれば、彼らは1年以上前から「脳波を計測するテクノロジー」を用いて対策を行っているという。

アメリカ代表のマウリシオ・ポチェッティーノ監督とスタッフは、2025年1月からドイツ企業「Neuro11」と協力してきたとのこと。選手たちは特殊な機器を装着し、GKを相手にPKやフリーキック、コーナーキックなどのセットプレーを行う。その際の脳波を計測し、集中状態やプレッシャー下での反応を分析したそうだ。

特にPKにおいては、選手ごとに「どのような助走、準備動作、メンタルが最適なのか」を探ることができるとのこと。つまり「この選手は、どの状態に入ったときに最もPKを決めやすいのか」を科学的に見ようという取り組みだ。

アメリカ代表DFティム・リームは、この取り組みについて「誰もが“ゾーンに入る”とか、“時間がゆっくりになる”と話す」と説明しているよう。アメリカ代表は、そのゾーンに近づくための方法を、感覚論だけでなくデータとして把握しようとしているそうだ。

なお、アメリカ代表のエースの一人であるクリスティアン・プリシッチは、テクノロジーでの準備を認めながらも、状況の完全再現は難しいと明かしているそう。

「PKの練習はもちろんしている。PK戦になれば、誰にでもチャンスがあると言われる。ただ、その瞬間に向けてできる限り準備をするしかない。

プレッシャーも含めて、実際にどういう状況になるかを完全に再現する方法はない。できるのは自信を持って、持っているものをすべて出すことだけ。何が起きてもおかしくないけれど、準備はしたいね」

サッカーにおけるPK戦は、「運」や「度胸」の要素が強いものであるが、近年はデータ分析、心理学、脳科学を取り入れ、少しでも成功確率を高めようとする試みが進んでいるようだ。アメリカ代表の脳波テクノロジー導入は、その最先端の一例といえる。

筆者:石井彰(編集部)
画像提供:Getty Images

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