全世界に感動を与えた小国の守護神が、世界的な論争に利用されているかもしれない。
W杯に初出場となったアフリカのカーボベルデ代表。グループリーグHで強豪のスペイン、ウルグアイに対して引き分けて世界をあっと驚かせ、ノックアウトステージ進出を決めた
リオネル・メッシ擁するアルゼンチン代表とのラウンド32では、延長までもつれ込む激闘の末に敗れたが、その勇敢な戦いぶりは全世界のサッカーファンを感動させた。
そんなチームの大健闘を支えた主役として、誰もが名を挙げるのが守護神のヴォジーニャだろう。
40歳で現在無所属(6月1日までポルトガル2部・GDシャヴェスに所属)のGKヴォジーニャは、カーボベルデの堅守と大躍進を最後方から支え続け、世界的な注目を浴びた。
特に、自身のInstagramフォロワーはW杯前の5万人から急増し、7月8日現在は約2800万人にも及んでいる。
そんなヴォジーニャだが、彼の知名度がとあるサッカー界の論争にも影響を与えているかもしれない。8日に、"vozinha"(ヴォジーニャ)を名乗るX(旧Twitter)のアカウントがとある投稿をした。
@V0ZINHA1 post on X
x.comその内容は、今月4日(日本時間)に行われたベスト32・カーボベルデ対アルゼンチン戦後のロッカールームでヴォジーニャとリオネル・メッシが肩を組んで笑顔で撮影した写真とともに「GOAT」(「Greatest Of All Time」の略で「史上最高」を表す英語のスラング)と一言添えたもの。
なんてこともないポストのように見えるが、問題は二つ。
一つは、このアカウントがヴォジーニャ本人と誤解されている可能性があること。ヴォジーニャを名乗るこのアカウントはプロフィール欄で“ファンアカウント”であることを明かしているのだが、投稿単体だとそのことは読み取れず、8日現在20万いいねを超える反響がある。
もう一つは、直接対戦したメッシを「GOAT」と称賛しているようにXユーザーに受け取られていることだ。
サッカー界における「GOAT」論争と言えば、ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドもよく言及されるように、メッシを「GOAT」扱いすることに反発を覚える人々が全世界に存在していることは事実だ。
実際、この投稿のコメント欄や引用欄には「あなたをフォローしたほとんどの人がメッシを貶めてくれることを期待していたなんて面白いね」「あなたがメッシのサポーターだったなんて」「ちょっとは好きだったけど、今はクソくらえだ。なんでこのイカサマ野郎の肩を持つんだ!」といった反応が。
SNS上でのこうした過剰反応と論争は、誤解されるような投稿をするファン(フェイク)アカウントとそのアカウントの真偽を確かめないユーザー両方の責任だが、今回については短期間に絶大な知名度を獲得したヴォジーニャの不運なもらい事故でもあるかもしれない。
なお、ヴォジーニャを名乗るXアカウントは他にも存在するが、筆者が確認した限り全てファンアカウントであり、本人のXアカウントではないことには注意されたい。
筆者:総山大地(編集部補佐)
画像提供:Getty Images
