Qolyアンバサダーのコラムニスト、中坊コラムの中坊氏によるコラムをお届けします。
日本サッカーを強くするには?
北中米W杯が終了し、日本代表はベスト32という成績で終わった。
この結果および内容について専門家だけでなくサッカーファンから様々な意見が飛び交っている。
「日本サッカーを強くしたい」というのは全サッカーファンの共通認識だ。そのために熱い議論交わすのもわかるし、時には選手や森保監督を批判するのも理解できる。
しかし、Jリーグに全く興味なさそうな人が過激に批判や改善提言をぶち上げているのを見ると言動不一致の極みだなと思うし、滑稽だなと感じてしまう。
その理由について説明したい。
サッカーファンのタイプ
一口にサッカーファンといっても様々なタイプがいる。
・普段からJリーグを熱心に見ていて、日本代表にはそれなりの温度感
・日本代表は応援するけどエンタメの要素が強く、Jリーグは見ない
・海外サッカーをメインで見ていて、日本代表は見るけどさほど熱量はない
・日本代表に本気で強くなってほしいし、日本サッカー界の強化案まで述べて批判するが、Jリーグは興味なく一切見ない、4年に一度のW杯しか見ない
最後のタイプがまさに今回のコラムでとりあげる人々だが、他の3つのタイプと比べて大きな違和感がある。
当事者のような熱量で述べているにもかかわらず、傍観者だからだ。
前述のタイプをもう少し丁寧に説明しよう。
・普段からJリーグを熱心に見ていて、日本代表にはそれなりの温度感
→Jリーグ観戦者の中で最も多いのではないか。今までは代表とJクラブがリンクしていたが、距離感ができ始め、自分の応援するクラブは熱心に追うけど、日本代表はTVで見る程度という形。諸外国でも自分のクラブが最優先という人が多いため、自然な流れとも言える。
・日本代表は応援するけどエンタメの要素が強く、Jリーグは見ない
→単にエンタメでサッカーを見ていてW杯だけ、日本代表だけ、という人。それはそれでもちろんいい。娯楽としての楽しみ方の一つだ。サッカーファンにおいても、他のスポーツを「五輪の時だけ見る」というタイプは相当数いるため、何も問題のない楽しみ方だ。むしろ関心もって応援してくれてありがたい。
・海外サッカーをメインで見ていて、日本代表は見るけどさほど熱量はない
→これも筋が通っている。レベル的に高いのはヨーロッパであり、ラ・リーガ等をメインで見ていてそっちが最優先。自分の国籍がただ日本であるだけで、日本代表の選手達に思い入れもない…そんな状況なら熱心に全力応援するのは難しい。ましてやJリーグを見ないのも当然。サッカー観戦の日常で、日本が存在しないならこれもわかる。
・日本代表に本気で強くなってほしいし、日本サッカー界の強化案まで述べて批判するが、Jリーグは興味なく一切見ない、4年に一度のW杯しか見ない
→前述の3つと比べ全く筋が通っていない。まるで当事者かのような熱量で述べるのに、その土台となるJリーグを見ない単なる傍観者だからだ。また、日常のリーグ戦に浸かっておらず4年に一度のW杯の時だけ熱く語るタイプのため、点でしか語っていない。過去と今と未来が線となって繋がっておらず、流れを踏まえられない。そのため、日本サッカー界を憂う言葉や強化案を語ったとしてもその言葉は浅く、空虚になる。
声高に日本代表への強化や改善策を提言するほどの熱量があるのに、肝心の国内リーグ戦に触れていないというのは矛盾している。
Jリーグと海外サッカーどちらでもいいが、日常のリーグ戦に浸かってない人々は我々と全く感覚が違う。その日常を持たない埒外の人間はW杯だけに特化して批評しがちだ。
そして自分に日常のリーグ戦がないうえ確固たる根拠や体験がないから、浅くなる。
国内サッカーが文化にならないといけない
日本サッカー界の強化の話に戻る。
大前提として、「ガラガラのスタジアムで名選手は生まれない」。
W杯優勝するレベルの国で自国リーグがガラガラ、常に空席が目立ち数千人しか入らない国など存在しない。そういった国はサッカーが文化として根付いている。
W杯が全てではなく、あくまで国内のリーグ戦が重要で、日常だ。そこまでの熱量・文化だからこそ国内で名選手が生まれ、W杯でも結果を残せる。
鎌田大地が「日本においてサッカーが文化にならないと」と危機感を持って述べたのは当然である。
かつてJリーグを博報堂が仕切ってた時代ですら、電通のスポーツ関係の部長は「日本サッカーのためにはJリーグが第一」と書いていた。2008年頃の電通・会社説明会資料での掲載である。
「ライバルである博報堂が握っているコンテンツのJリーグを、電通がプッシュするのか」、と当時驚いたものだが、提言内容はその通りである。
Jリーグの盛り上がりこそが日本サッカーの強化に繋がる。
本当に日本サッカーを強くしたい、W杯で結果を残してほしいという気持ちがあるなら、まずは日常のサッカーとしてリーグ戦に触れ、スタジアムに訪れてみるのが第一歩だろう。それが文化となり、回りまわって日本サッカー界の強化に繋がるからだ。
リーグ戦を見続けることで自分の目も肥える、落とした金額が強化に繋がる、一人一人の観戦がJリーグの底上げに繋がり、新たな選手達の誕生に至る。様々な面で好循環が生まれる。
ただ、最後に書いておくがJリーグもサッカーも、あくまで娯楽である。こんな堅苦しいことを踏まえながらサッカー観戦する必要はない。W杯も4年に一度のお祭りだ。
日本サッカー強くしたい気持ちで鼻息荒く不満をブチまけたりJFAや監督批判するのもいいが、まず自分が楽しむことが最優先。観戦は義務ではない。
そうでなければ、我々のようにリーグ戦を毎週毎週見続ける日常は続かない。
Jリーグでもいいし海外サッカーでもいい、日常にサッカーがある生活に漬かってこそ見えてくるものがある。
筆者:中坊(中坊コラム)
1993年からサッカーのスタジアム観戦を積み重ね、2025年終了時点で1,029試合現地観戦。特定のクラブのサポーターではなく、関東圏内中心でのべつまくなしに見たい試合へ足を運んで観戦するスタイル。日本国外の南米・ヨーロッパ・アジアへの現地観戦も行っている。
中坊コラム:https:note.com/tyuu_bou X:https:x.com/tyuu__bou



