女性アスリートの競技人生において、妊娠と出産は大きな転機になる。身体の変化、長い休養期間、育児との両立、復帰後のコンディション調整。難しい道のりであることは想像に難くはない。

それでも、出産を経て競技へ戻り、再び世界一に立った選手がいる。ここでは柔道、レスリング、サッカー、陸上競技から6人を紹介する。

谷亮子

日本スポーツ界で「出産後の復帰」を語るなら、この人を外すことはできない。柔道女子48kg級で圧倒的な強さを誇り、1992年バルセロナ、1996年アトランタと五輪で銀メダルを重ね、2000年シドニーで悲願の金メダルを掴んだほか、2004年アテネでも連覇を達成。

2005年に第1子を妊娠すると、その年の世界選手権を欠場。同年末に長男を出産し、育児と競技を両立する日々が始まる。

本格的に練習を再開した2007年3月の時点で約2年のブランクがあり、柔道家としての身体は一から作り直すしかなかった。それでも同年9月の世界選手権に出場し、決勝まで勝ち上がって優勝。2大会ぶり、通算7度目の金メダルである。北京五輪を待たず、世界選手権の舞台で「ママでも金」を実現してみせた。

その後出場した2008年北京五輪は銅メダル。3連覇こそ逃したが、バルセロナから5大会連続で五輪のメダルを持ち帰るという記録を残している。

金城梨紗子

旧姓・川井梨紗子。日本レスリング界で初めて、母親として世界王者になった選手である。

2016年リオデジャネイロ五輪の女子63kg級を制すと、その後は57kg級へ階級を移し、伊調馨との熾烈な代表争いを制して東京五輪へ。2021年の東京大会でも金メダルを掴み、五輪2連覇を達成した。

しかし大会後に結婚し、2022年5月に長女を出産。一時は引退も考えたという。ところが競技から離れてみると、逆にレスリングへの思いが戻ってきた。緊張感すら恋しくなるほどだった、と本人は振り返っていた。

出産から約1カ月半後の6月末には練習を再開。当初は身体の硬さに戸惑い、以前のようには動けなかったというが、実戦復帰は出産からわずか5カ月後だった。全日本女子オープン選手権59kg級を、3試合すべて無失点という内容で制した。

パリ五輪出場は叶わなかったが、挑戦はそこで終わらない。2024年には59kg級で世界選手権代表に選ばれ、アルバニアで行われた大会を制覇。母親になってからの世界一は、日本のレスリング界では前例のないことだった。

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