世界には、試合を観るだけではもったいないスタジアムがある。数万人を収容する巨大アリーナだけが、サッカーの魅力を伝える場所ではなく、そこにしかないような風景が広がるスポットも存在する。
今回は『FourFourTwo』から、「世界で最も景色が美しいサッカースタジアム」をご紹介する。
ヘニングスヴァール・スタディオン

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場所:ノルウェー/ヘニングスヴァール
まるで海に浮かぶ島に、ピッチだけを置いたかのよう。ノルウェー北部、ロフォーテン諸島の漁村ヘニングスヴァールにあるこのグラウンドは、世界で最も美しいサッカー場の一つとして知られる。
上空から撮った写真を見れば、立地の異様さは一目で分かる。ごつごつした岩に囲まれた小島の真ん中に、鮮やかな緑の長方形。大きなスタンドも商業施設もなく、あるのは海と岩とピッチだけ。
そのそばには、魚を干すための木製の棚が並ぶ。この地域は古くからタラ漁が盛んで、干物は地元の重要な産業だった。サッカー場のすぐ隣に、漁村の日常がそのまま広がっているスタジアムだ。
北極圏に近いため、夏は白夜の季節を迎える。子どもたちは夜遅くまで明るい空の下でボールを蹴り続けられる。冬は一転、雪と寒さに閉ざされる。多くのスタジアムが屋根や照明で外の環境を遮ろうとするなか、ヘニングスヴァールは真逆だ。
エスタディオ・エルナンド・シレス

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場所:ボリビア/ラパス
標高は3600メートル。ボリビアの事実上の首都ラパスにあるエルナンド・シレスは、世界屈指の高地に建つスタジアムだ。アンデスの山々に囲まれ、すり鉢状の地形に建物が密集するラパスの街並みを見渡せる。建築そのものより、巨大都市と山岳地帯が重なり合う景観こそが見どころである。
ただ、選手にとってこの景色は美しいだけでは済まない。空気が薄く、高地に慣れていない選手には激しい運動を続けること自体が大きな負担になる。ボリビア代表のホームゲームは南米予選で屈指の難所とされ、ブラジルやアルゼンチンでも簡単には勝てない。
2007年には、この環境を巡って騒動が起きる。FIFAが選手の健康面などを理由に、標高2500メートルを超える会場での国際試合を制限する方針を示したのだ。ただ、ボリビア国内は猛反発し、最終的に制限は緩和・撤廃された。
そしてボリビアは2026年ワールドカップ予選に向けて、さらに高い場所へホームを移している。ラパスに隣接するエル・アルトの、標高4100メートルのスタジアムだ。世界屈指の高地を本拠地にしていた代表が、もっと高い場所を選んだことになる。
スバル・パーク

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場所:アメリカ/チェスター
アメリカのサッカースタジアムといえば、巨大なNFL兼用スタジアムや近代的な複合施設を思い浮かべるかもしれない。MLSのフィラデルフィア・ユニオンが本拠地とするスバル・パークは、それとはまったく別の魅力を持っている。
ペンシルベニア州チェスターを流れるデラウェア川のほとりに建ち、すぐ隣には鋼鉄製の巨大な橋、コモドア・バリー・ブリッジが架かる。無数の鉄骨が組まれた橋を背に緑のピッチが広がる光景は、アメリカの都市型スタジアムのなかでも強く印象に残る。
景観は設計段階から意識されていた。クラブ公式サイトによれば、観客席の屋根は雨風からファンを守りつつ、川と橋の眺めを遮らないように造られている。川や橋が見えるのは偶然ではなく、見せるための設計だった。
昼間は川の青とピッチの緑がくっきり分かれ、夕暮れには橋のシルエットと照明が別の表情をつくる。大自然に囲まれたほかのスタジアムと違い、ここにあるのは人がつくった巨大構造物とスポーツ施設の組み合わせであり、アメリカらしい会場だ。
