リバプール(昨季2位)【開幕戦、第2節、第3節観戦】

【破壊力抜群のアタッカー陣を、どのように生かし切るか】

・Positive Aspect

プレシーズンから持続して攻撃陣は好調を保っており、特にスターリングは別格のパフォーマンス。その切れ味鋭いドリブルを「運び」に使うようなプレーによって、抜くのではなく相手を引き連れるように守備を崩していくような場面が目立つ。スアレスとのプレーで磨かれた「受け手」としてのプレーも問題なくこなしており、攻撃を引っ張って行く彼には昨シーズン以上に期待出来そう。マンキージョやモレノ、ロヴレンといった新加入選手も軒並み好調で、バロテッリもスターリッジのパフォーマンスを向上する観点では重要な補強になりそう。勿論本人もキレのある動きを見せていたし、セットプレーなどの破壊力を倍増させてくれるはずだ。スアレスを失っても、「正面からぶつかったら敵無し」の攻撃的サッカーは継続出来るはず。

・Negative Aspect

正面からぶつかったら敵無しだが、変化をつけた攻撃に守備陣が対応しきれないというのは大きな不安要素。マンチェスター・シティ戦では、サイドからの斜めのカットインや横の入れ替わりに苦しみ、守備が自壊してしまった。アッガーの放出によって守備陣に似たタイプの選手が揃ってしまい、「前からのプレスが嵌っている時は最強」という極端な守備になってしまっているのは問題。同格以上の相手に対策された際は、難しい展開が予想される。また、ただでさえ弱点とされるDFラインの前にジェラード1人を置く陣形を採用しているのはリスクが大きすぎる。ジェラード1人では守りきれないということだけでなく、システム的に組み立ての円滑さにも問題が出ている点は見逃せない。改善点は多そうだ。

・New Player

アルベルト・モレノ

長い距離のスピードを武器とするスペイン人サイドバック。守備ではアスピリクエタに似た部分がある選手で、自分のスピードを知っているからこその距離感で相手アタッカーを誘い込もうとするような強気な対応が魅力。また、そのスピードを生かしてトッテナム戦ではゴールまで決めてみせた。守備面での連携などでは粗いプレーも目立つが、攻撃的なリバプールにしっかり馴染んでいる。

・Key Player

ルーカス・レイヴァ

ナポリへ移籍する噂が絶えなかったが、結局残留したブラジル人MF。似たタイプの選手が多く、明らかに攻撃に比重が偏っているリバプールでは守備をきっちり引き締める意味で貴重な存在。チームが難しい状況に陥るような場面で、守備面のポジショニングが良い彼が必要とされる場面は必ず来るはず。リスクマネージメント的な意味でも、ジェラードが昨シーズンのようにDFラインから組み立てに関わって行く場面を増やすには彼の起用が必要だ。

ジョーダン・ヘンダーソン

好守に献身的な動きを見せるイングランド代表プレイヤーは、今季は自分の判断で攻守への関わり方を調整することが求められる。昨シーズンより攻撃的なシステム故に、彼の攻撃力が制限されている感があるのは少し残念。バロテッリの加入でボールがある程度前に収まるようになれば、エリアへの精密なフリーランを生かすことが出来るはず。

・Potential Player

ラザル・マルコビッチ

確実に大器と言える若きアタッカーだが、まだまだその才能を生かし切れていない印象もある東欧の神童。同じドリブラーとして数年で別人のように飛躍したラヒーム・スターリングを見て、色々と吸収して欲しいところ。

マリオ・バロテッリ

スアレスと同じく、ピッチのほとんどのエリアでプレー出来る万能ストライカー。メディアに作られたイメージとは違い、実は自己犠牲を厭わない面もある。W杯では1人で前線を支え、何度となく削られながらもボールを守り続けた。強靭なフィジカルを生かしたキープ力に優れていることから、前線で起点となってスターリッジやヘンダーソンを輝かせることが出来れば面白いはず。勿論、その空中戦スキルを生かしたセットプレーへの参加も魅力的。

ダニエル・スターリッジ

面白いことに、柱となるFWがいると別人のように働き出すFW。基本的に相方がいる状態で自由にプレーすることによって生きる選手であり、そこまでプレーエリアが広くないことから2トップでの起用が必要になるだろう。バロテッリという相方を得て、昨年のように眩い輝きを放てるか。

・Deadline Deal

無し。ボリーニ放出に動いていたようだが、結果的に本人は残留を望んだ。彼がスーパーサブとして変化球となるようなプレーをこなせれば面白いが。