トーゴ代表チームが乗ったバスが武装勢力に襲撃されてから2日。アフリカネイションズカップ2010、アンゴラ大会は開幕の日を迎えることとなった。当初は、スタッフに2人の死者を出し、選手2人が重傷を負ったトーゴ代表は辞退を表明。後に一度撤回されたものの、結局政府当局の帰国命令もあって大会から離脱する見込み。これにより15チーム、全29試合という開催予定となる。
事件で死亡した2名、トーゴのチーム広報を務めていたスタニスラス・オクロー、アシスタントコーチであったアバロ・アメレテの名が読み上げられ追悼の意を表した後、大会開幕を告げるオープニングセレモニーが開始された。
白い服に身を包み、アフリカ各国の国旗を掲げた男たちが、トラックを回る。さらに国旗のデザインを象った大きなボールがピッチに入ると、トラックを囲むように多くのロケット花火が打ち上げられていった。これを合図に民族衣装に身を包んだ大勢のダンサーがピッチに現れ、歌い、踊った。次に現れたのは迷彩服を着込んだ多数の男たち。さらに大型ビジョンには演説する背広姿の男と整列する軍人。なるほど、これはアンゴラという国の成立、そして独立を表現したものだったのだ。
やがて花火が打ち終わり、ピッチ中央に大きな地球のオブジェが出現。そこに白とオレンジの服を身につけた人間が顔を出すと、やがて地球には大きな向日葵の映像が映り、その周囲を花びらのように人間が囲み、回っていく。そして最後にスタジアムの周辺から無数の花火が打ち上げられ、さらにピッチは白い布が被せられ、様々な色のライトが照らし、鮮やかに夜の空を染め上げた。
2日前の事件を思うと、このセレモニーですら皮肉に感じてしまったのは私だけではあるまい。「この大会自体の開催を中止すべきだ」という意見も多く、私も中止までとは行かずとも延期などの措置をとり、警備を見直すべきだったのではないかと思う。だが、中止や延期が可能な時期を過ぎていたのも事実だろう。そういう意味では南アフリカでのワールドカップもそうだ。多くのお金が動く昨今のサッカービジネスの中では仕方ないことである。現実、お金がなくてはやっていけないのだ。
とにもかくにも20日間に渡るアフリカネイションズカップ2010、アンゴラ大会は幕を開けた。今は更なる悲劇が起こらないことを強く祈りたい。

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