大会は4日目。グループリーグ第1節の残り2試合が開催され、トーゴの棄権によって試合が中止となったガーナ以外の14チームすべてが顔を見せることになる日だ。
これまでの3日間、アルジェリアやコートジボワールなど強豪と目された国が実力を発揮できなかったり、4点差からの同点劇があり、わずか5試合のなかでも多くの驚きがあった今大会。しかし最大のアップセットは4日目に待っていた。
Cameroon
Gabon
ワールドカップで日本と初戦を戦うことになっているカメルーンは、アフリカの中では3本の指に入る強豪チーム。対するガボンは、欧州で有名な選手といえばイングランドでプレーしているクザンくらいであり、比較すれば明らかに格下といえるチーム。カメルーンとガボンはワールドカップ3次予選でも同じグループに入っていたが、2試合ともに前者の勝利で終わっている。
しかし、先制点を奪ったのはガボンであった。17分、右サイドのエンドゥンガがアーリークロスを投入すると、メイェがエンクルのマークを受けながらも粘ってキープし、スルーパス。これに反応して飛び出したクザンが冷静にシュートを決めたのである。シンプルなカウンターからの得点だった。このリードを得たことで、ガボンのやや混乱していた守備も落ち着きを見せ始めた。
フランスでプレーしている両センターバックとキーパーのオヴォノの守備力は高い。また前線のプレス意識も高いため、チームとして組織的なマーキングができる。個々人の雑さやミスは目立つものの、「チームとしてどう守るか」がしっかりしており、サボる選手、身勝手に動く選手がいない。それがガボンの強みだった。
カメルーンとしては失点したとはいえまだ時間は早く、しかも個人技では明らかに勝っており、しっかりサイドを攻めれば焦る必要はなかった。ところが彼らは焦ってしまったのだ。前線はパスを貰う動きが少なくなり、しかも守備が厚い中央に行きがちで、わざわざガボンに封じられに行ったようなものだった。彼らが上手く連携を作れないので、サイドバックもなかなか上がれなくなっていた。
そこでカメルーンのル・グエン監督はハーフタイムに修正を行う。ドリブル能力があるエマナを中央に移し、空いた右にはフレッシュなチョイを投入。ゴールに近い位置でエマナが打開、守備に不安があるアンブレットをチョイで狙うという算段だ。結論から言えばこれは絶大な効果を発揮した。攻撃が出来ることでガボンを自陣に釘付けにし、クザンを孤立させることにも成功。「これならいつか点は入る」と思える展開が、後半開始から続いた。
ところが、これが「入らなかった」のである。数多くのチャンスはあったが、自ら決定的なシュートを外し、オヴォノの好セーブに弾かれ、一向にゴールが割れなかった。ガボンの守備は終盤になって疲弊し、ラインをほとんど上げられず、マークもずれ、パワープレーを行うカメルーンに何度も崩された。しかし結局失点だけは逃れたのである。
そして最後にはカメルーンも攻め疲れをしてしまい、万事休す。ガボンが1点のリードを辛うじて守りきり、本人たちにも信じられない勝利を得る結果となった。
カメルーン 0-1 ガボン

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