続いてはコートジボワールとアルジェリアの試合だ。チームの総合力ではコートジボワールが一枚上。アルジェリアがフレキシブルな戦術を武器にどう立ち向かうかが注目どころである。
Cote d'Ivoire
Algeria
序盤、主導権は完全にコートジボワールの手中にあった。原因はアルジェリアの入り方の失敗である。高さでは絶対に勝てないと考えたのか、まずはとにかくグラウンダーでパスを繋いで、相手を押し込んでしまおうという戦い方を見せたのである。これがまさに大失敗で、コートジボワールのプレスの前に簡単にボールを失い、雨あられとカウンターを受けたのだ。
そしてその流れの内にコートジボワールが先制する。右サイドをカルーが侵攻、中央へのパスをヤヤ・トゥーレが受けてキープした後シュート。これがブゲラに当たって右にこぼれると、そこに残っていたカルーがゴールに蹴り込んだのだ。試合開始からわずか4分での出来事だった。このままではアルジェリアは何失点するか分からない……そうした展開だった。
しかし、アルジェリアはこのどん底の状態から立ち直って見せた。その要因はどちらか一方ではなく、両者にあった。
アルジェリアは、ワンタッチやツータッチでボールを動かし、一人一人が必ず持つ時間を短くする努力をした。さらに右サイドにいたマトムールをトップに移し、4-4-2に変更。飛び出せる選手を前に2人置くことで、マークを分散させ、隙があれば裏のスペースにパスを出せるようにした。要するに、速く繋ぎ、速くゴールに向かうことが出来る組織を整えたのである。そして同時に、コートジボワールは明らかに1点を守りに来ていた。全体が下がりがちになり、前線からチェイシングする意識が薄れたのである。
これがアルジェリアにも勢いを与えた。ひとたびコートジボワールのカウンターを受ければボールはなかなか奪えず、セカンドボールも拾えないため押し込まれる。しかしそれを恐れずにボールを保持し、攻めたのだ。
その姿勢が40分に結果を出した。セットプレーが一度クリアされたところを拾い、もう一度ペナルティエリアへ送る。それをマトムールが上手くトラップし、右足を振りぬくと、シュートは左ポストに当たってゴールの中に吸い込まれた。これで試合を振り出しに戻すことに成功する。
後半になると、また両者に戦術面の変更があった。アルジェリアは、前半効いていたマトムールとゲザルの飛び出しを集中して使い、相手のディフェンスを押し下げ、試合のペースをより握ろうとした。対するコートジボワールは、序盤ペースを握る要因となった前線からのプレッシャーを再び徹底。この結果生まれたのが、両者がゴール前でチャンスを作りつづけるというスリリングな展開であった。
コートジボワールは前線が前へ行く一方、最終ラインの裏を前半以上に狙われたため、全体が間延び。ただし、個人能力が高いコートジボワールのカウンターは依然として切れ味があり、アルジェリアのディフェンスは一対一ではほとんどボールを奪えなかった。
激しい攻め合いの中、試合が動いたのは終了間際の89分。得点は、コートジボワールに生まれた。ボールを奪って交代出場のケイタがキープし、前線にパス。アルジェリアのディフェンスがこれをカットするも、こぼれ球を再び拾ったケイタが左足を一閃。強烈なシュートがゴール左上隅に突き刺さった。これで試合はほとんど決まったかに思われた。
ところがその2分後、この絶望的な状況でも諦めずに攻めたアルジェリアに同点ゴールを生まれたのである。左サイドからベルハジがアーリークロスを入れると、ブゲラがフリーでヘディング。ボールはゴールマウスに吸い込まれた。パワープレーで上がっていたブゲラがバンバのマークを撹乱し、このチャンスが生まれたのである。
試合は延長戦に突入。アルジェリアはここで2人目の交代を行う。メグニに代えてブアッザを投入し、さらに攻撃力を高めることを狙った。するとこの采配がぴたりと的中する。
延長戦開始からわずか1分、そのブアッザが右サイドをドリブルで突き崩し、クロスボールを入れる。一度は逆サイドに抜けるも、ジアニが拾って再びクロス。すると右サイド側のゴール近くに残ったブアッザが完全にフリーで待っていた。難なくヘディングを決め、2度のビハインドから抜け出したアルジェリアがついにリードを奪ったのである。
この場面もそうであったが、コートジボワールの守備は集中力を失っていた。延長戦の後半が始まると、むしろアルジェリアの方がカウンターから決定的なチャンスを何度も創出。バランスが完全に崩れたコートジボワールは劣勢の中、コロ・トゥーレが飛び出しに成功してゴールという場面もあったのだが、副審のミスジャッジでオフサイドと判定されて取り消されてしまうなど、運もなかった。
そして試合は120分が終了。アルジェリアが延長戦で得たゴールを守りきり、勝利を手にする結果となった。
とにかく激しい死闘だった。特に延長戦では両者の命を削りあうような展開で、競り合いで一度頭部を強打し倒れたアルジェリアのキーパー、シャウシが試合終了後に力尽きて立てなくなってしまったほどであった。
コートジボワール 2-3 アルジェリア

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