今大会のホスト国であり、2022年のワールドカップ開催地にも選出されたカタール。世界の舞台に登場する準備としても、アジアの王者に輝いておきたいところで、少なくとも上位には名を連ねなければいけないだろう。しかし、決勝トーナメントに進出したのは2000年大会にまで遡らなければならず、しかもその時の成績は0勝1敗3引き分け。1988年大会以来、実に22年以上に渡ってアジアカップで勝利をあげていない。
帰化選手が多いことで知られているが、当然、各国の代表クラスを手に入れられるわけではなく、アジアの中においてもトップと言えるほどの域には達していないというのが実情。試合をよくご覧になっている方であれば、帰化選手でもセバスティアン以外はそこまで突出した能力を持っていないことはご存知であろう。 それよりも現在カタールが重点的に行っているのは育成への投資である。フル代表の監督には、セネガルを率いて日韓ワールドカップで旋風を巻き起こした「白い呪術師」ブルーノ・メツを。U-23代表にはかつてAZを躍進させたオランダ人監督コ・アドリアンセを迎えるなどドラスティックな強化を行い、さらに、カタールに設立されているアスリート育成機関「アスパイア」は、毎年夏に行われているトゥーロン国際大会のメインスポンサーを務め、自国のユース代表を送り込んでいる。
そして、その施策は実を結びつつあり、今回の代表チームにも非常に若い選手が台頭している。20歳にして既に24キャップを持つ左利きの長身DFイブラヒム・アブドゥルマジド、若くして代表に定着しているユセフ・アハメドやアル=ハルファン、アリ・ヤフヤに加え、今大会は18歳でフル代表デビューを果たした、機動力あるレフトサイダーのハリド・ムフタフ、アル・ラーヤンでブレイクを果たした新鋭FWアル=マリ(今大会ではMF登録)が選出された。
まだフル代表もユース代表も荒削りではあるが、贅沢に整えられた育成環境のもと、若い選手をどう強くしていくかということに邁進しているカタール。現在ブルーノ・メツが選択している戦術も実にモダン。攻守の切り替えを速くし、積極的なプレッシャーでボールを奪い、速くパスを回してゴールに迫るショートカウンターだ。だが、全体的に守備の安定感や繋ぎのテクニックに乏しく、穴は大きい。そのため今回の大会では決して優勝できる可能性は高くはないが、どういう結果になろうともこの戦いをいい経験にして、成長の糧にしたいところ。本当の勝負は3年後に待っている。
No. | 名前(Name) | 所属クラブ | |
---|---|---|---|
GK | 1 | クアセム・アブドゥルハメド・ブルハン (Qasem Abdullhamed Burhan) |
アル=ガラファ |
21 | モハメド・ムバラク・A・M・ブダウード (Mohammed Mubarak A M Budawood) |
カタールSC | |
22 | サード・アブドゥラ・M・E・アル=シーブ (Saad Abdulla M E Al-Sheeb) |
アル=サッド | |
DF | 2 | ハミド・イスマイル・H・ハリファ (Hamid Ismaeil H Khaleefa) |
アル=ラーヤン |
3 | カソラ・モハメド (Kasola Mohammed) |
アル=サッド | |
6 | ビラル・モハメド・B・ラジャブ (Bilal Mohammed B Rajab) |
アル=ガラファ | |
8 | メサード・アリ・A・M・アル=ハマド (Mesaad Ali A M Al-Hamad) |
アル=サッド | |
13 | イブラヒム・マジェド・A・アブドゥルマジド (Ibrahim Majed A Abdullmajed) |
アル=サッド | |
18 | イブラヒム・アブドゥラ・M・A・アル=ガニム (Ibrahim Abdulla M A Al-Ghanim) |
アル=ガラファ | |
MF | 4 | ローレンス・アウリー・クアイェ (Lawrence Awuley Quaye) |
アル=ガラファ |
7 | ウェサム・リジク・アブドゥルマジド (Wesam Rizik Abdulmajid) |
アル=サッド | |
11 | ファビオ・セーザル・モンテシン (Fabio Cesar Montesin) |
アル=ラーヤン | |
14 | ハルファン・イブラヒム・KH・A・アル=ハルファン (Khalfan Ibrahim KH A Al-Khalfan) |
アル=サッド | |
15 | タラル・アリ・H・アル=ブルシ (Talal Ali H Al-Bloushi) |
アル=サッド | |
17 | アブドゥラジズ・アブドゥラ・H・M・アル=スライティ (Abdulaziz Abdulla H M Al-Sulaiti) |
アル=アラビ | |
19 | ハリド・ムフター・E・M・ムフタフ (Khaled Muftah E M Muftah) |
アル=ワクラー | |
FW | 5 | ハサン・ハリド・H・アル=ハイドス (Hasan Khalid H Al-Haydos) |
アル=サッド |
9 | ジャララ・アリ・J・A・アル=マリ (Jaralla Ali J A Al-Marri) |
アル=ラーヤン | |
10 | フセイン・ヤセル・M・アブドゥラフマン (Hussain Yaser M Abdulrahman) |
アル=ザマレク(EGY) | |
12 | ユセフ・アフメド・M・アリ (Yusef Ahmed M Ali) |
アル=サッド | |
16 | モハメド・アル=サイード・A・M・サイード (Mohamed Al-Sayed A M Sayed) |
アル=サッド | |
20 | アリ・ハッサン・A・ヤフヤ (Ali Hassan A Yahya) |
アル=サッド | |
23 | アンドレス・セバスティアン・S・キンターナ (Andres Sebastian S Quintana) |
カタールSC |