11月から12月にかけて行われたガルフカップでベスト4に進出。その直前のアジア競技大会でもU-23代表が準優勝を飾り、各年代のチームが結果を残したUAE。昨今は育成に力を入れており、若手の成長も著しい。

しかしチームの力がそれほど向上しているかといえば、そうではない。アハメド・ハリルやモハメド・アル＝シェヒ、イスマイル・アル＝ハマディ、サイード・アル＝カティリなど個人の能力に優れる若手FWが台頭。それをクラブ・ワールドカップでも活躍したイスマイル・マタルが操る攻撃陣は、個人だけを見れば非常に能力は高く将来性もある。またボランチに君臨するスバイト・ハテルのロングパスやフリーキック、ミドルシュートは強烈だ。

ただチームとして見ると、サポートやフリーランの質は低く、相手の弱みを突く嫌らしさもない。またチーム全体のテクニックではサウジアラビアに劣り、ボール回しでの崩しも得意とはしていない。そして、何よりも育成が進んでいないのが最終ライン。UAEのクラブチームを見ても、身体能力やテクニック、パンチ力はあっても雑なプレーに終始する選手が多く安定感を感じることは出来ない。「強い」チームというものは必ず守備が整っているものだが、UAEはまだその域にまで到達していない。

今回のアジアカップではイラン、イラク、北朝鮮と同居。4チーム共に実力差はあまりなく、どこが抜けてもおかしくないグループだが、その中で一番チームのバランスが悪いのはこのUAEだといえる。実際にガルフカップでは初戦で当たったイラクに終始押され、辛くも敗戦を逃れたという経験があり、UAEが前評判通りの力を発揮することができるかは怪しい。