2011年1月11日(火) - アフマド・ビン・アリ・スタジアム
1
1-1
0-1
2
マフムード

13'

得点者
42'
84'
レザエイ
モバリ

グループDの2試合目は隣国同士、政治的にも対立した歴史を持つイラクとイランのダービーマッチとなった。試合はイラクが先制したものの、その後イランが持ち直して2点を取り返し逆転勝利を飾る結果となった。

イランは試合の入り方は失敗したと言っていい。右サイドバックに守備的なラハマティを配置し、センターハーフのテイムリアンとモバリにもリスクマネージメントを意識させ、相手の強力な前線4人を抑えるブロックを構築。そして前線の3人は高い位置に残り、サイドでショジャイーとレザエイが仕掛けてチャンスを産み出そうという狙いであった。

ところがこれがあまり機能せず。守備では中に残りたがるセンターハーフと下がるラハマティの間にスペースが空き、最終ラインの位置も下がってしまった。中盤が前に行く意識が低いため、セカンドボールも支配された。さらに攻撃でも前線に全くサポートや追い越しがなく、3トップが孤立。要するに「前後分断」のサッカーになってしまっていた。

さらに13分、上述したラハマティ周辺のスペースにマフディ・カリムが飛び出してきてクロスを許し、マークが混乱。ファーでイマド・モハメドに折り返され、マフムードに詰められて失点してしまう。最悪のスタートだったと言える。

だがその後、イランは徐々に修正することに成功した。テイムリアン、モバリ、ハジ・サフィなどが前に行く意識を高め、前線との縦の関係を作り出すとともに、セカンドボールを奪取することにも効果を発揮。相手が先制したことでやや積極性を失ったことも手伝い、イランのプレーは向上した。

そして41分、相手のクリアボールを拾い、前に上がっていたテイムリアンがすかさずスルーパスに持ち込むと、レザエイが右から裏にへと飛び出し冷静にゴールを決めた。上述の戦術の改善通りの流れで同点に追いつくことに成功したのである。

後半は相手がそれまでよりやや前に出てきたため互角に近い展開となったが、イランは最終ラインを上げ、中盤の運動量を増やしてサイドをカバーし、3トップはその分積極的に裏に飛び出してサポートがなくても相手を押し下げるプレーを選択。選手を入れ替えずに論理的にバランスを取り、ピンチを防ぎつつ、相手のミスを狙いながら試合を進めた。

そして84分、ついに逆転ゴールを奪取。左サイドからモバリがフリーキックを入れると、ニアでアギリが飛び込み触れなかったことがフェイントに。混乱したゴールキーパーが反応できず、ボールはそのままゴールに吸い込まれていった。これが決勝点となり、イランが初戦を勝利で終えることに成功した。

イラクは力は見せたものの、強豪相手には一歩及ばなかった。エースのマフムードを中心に、その周りを的確に2列目の3人がサポートする連携はさすがの完成度を誇り、序盤は非常に相手を苦しめていた。しかし先制点を取ったあとには、プレビューでも書いた通り腰が引ける悪癖が出てペースを失い、後半も結局最終ラインを上げられなくなり、攻勢に出られるほどの積極性を取り戻すまでに至らなかった。また最終ラインのミスも多く、アジアのトップクラスの国と比べると安定感に欠けるところを露呈してしまったと言える。

(筆:Qoly編集部 K)




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