バルセロナのリーグ戦新記録である16連勝が話題になったサッカー界。バルセロナの記録は止まってしまったが、バルセロナ級の勢いで勝ち進むクラブがある。それは、イタリア、セリエAのウディネーゼだ。かつて日本代表のザッケローニ監督が名を上げたクラブである。

ビッグ3を呑み込んだチーム

ウディネーゼは2011年のリーグ戦8戦を無敗。引き分けを挟んで6勝するなど、対戦相手を恐怖に陥れている。勝利内容も充実しており、ミランとの試合では4対4の派手な撃ち合いだが、ロスタイムにイブラヒモヴィッチがゴールを決めるまではウディネーゼが終始リードしていた。また、21節、22節はインテル、ユヴェントスとの厳しい連戦であったが共に逆転で勝利を飾るなど勢いは増大している。

今季のウディネーゼはシーズン序盤4連敗を喫して最下位に沈んでいた。5節にスコアレスドローで勝ち点1を得ると、6節のチェゼーナ戦で初勝利。ロスタイムにベナティアが決勝ゴールを叩き込んだ試合である。初勝利以降はパストーレ、イリチッチが爆発していたパレルモを退けるなど4連勝。その後は白星、黒星がはっきりした成績ながらも徐々に順位を上げ、年明けから9戦無敗で5位へと浮上した。

躍動する昨季得点王

チームを支えるのはエースのディ・ナターレ。昨季のセリエA得点王は序盤はチームと共に苦しんだが、現在18ゴールを奪い、得点ランキングではナポリのカバーニを追って2位。トリプレッタ(1試合3得点)3回、ドッピエッタ(2得点)2回を達成するなど、派手に暴れ回っている。固め打ちも多いが、3試合連続ゴールを2回達成しており文字通りエースの働きと言って問題ないだろう。また、チーム2位の7ゴールを奪っているアレクシス・サンチェスの存在も大きい。マンチェスター・ユナイテッドやインテルなどが狙っていると噂されているが、軽快な動きで相手を攪乱。ディ・ナターレと共に高速カウンターに欠かせない存在となっている。

戦術の固定がチーム浮上のきっかけ

ウディネーゼが急上昇した理由にフォーメーションの固定化が上げられる。今季は3-4-3のシステムでスタートした。ザッケローニ監督時代から受け継がれるチームの象徴というべきフォーメーションだ。昨季途中に就任したグイドリン監督は多くのプロヴィンチャを渡り歩いた監督であり、プロヴィンチャの統率術を高く評価されている。最近のプロヴィンチャは4バックを敷く傾向にあるが、数年前までの主流は3バックだった為、ボローニャやパレルモで3バックを敷いた経験のあるグイドリン監督にとっても組みやすかったと推測される。しかし、開幕3連敗を喫した事でグイドリン監督は一度4バックを試しているが結果は出なかった。元来、ウディネーゼは3バック用の人材が集められており、長年3バックで戦ってきた選手も多い為、SBとインサイドハーフの攻守両面での連携がかけており、攻撃を構築するボールプレイヤーが中盤にいなかった為、付け焼き刃であった事は言うまでもない。

ウディネーゼ フォーメーション1

4バックも実らずに4連敗を喫すると指揮官は再び戦い慣れた3-4-3へとシステムを戻す。昨年度4位のサンプドリア相手に結果は出なかったが勝ち点1を掴む事に成功した。そして初勝利を挙げた6節で指揮官が採用したのは3-1-4-2のシステムだった。インレルをアンカーにおき、アザモアとピンツィをセンターハーフとして並べる格好だが、中盤を強化する事で失点続きだったチームの守備が改善したのである。

ウディネーゼ フォーメーション2

以降、グイドリンは3-1-4-2を基本戦術として採用。サンチェスのトップ下を試したケースや、3-6-1でスタートしたナポリ戦以外は、全てがアンカーを置く3-5-2で組まれており、16節以降は完全に3-1-4-2で固定。スタメンも怪我や出場停止を除けばほぼ固定されており、GKはハンダノヴィッチに、3バックはドミッツィ、サパタ、ベナティアが構える守備陣。中盤はインレルをアンカーに置き、アサモア、ピンツィが攻守でハードワーク。その両翼には堅実なイスラとアルメーロ。アタッカーはいうまでもなくディ・ナターレとサンチェスだ。今夜行われる26節もほぼ同じメンバーで戦う事が濃厚だ。出場停止のサンチェスに変わりデニスかコッラーディが起用される見込みだ。

ウディネーゼ フォーメーション3

前半戦の成績を参考にすると、まだまだ無敗記録が伸びるのではないだろうか。サッカーに絶対は無いが、固定システム、固定メンバーで自信を取り戻したチームは大いなる躍進を見せる可能性を秘めている。長友のインテル移籍で熱を帯びるセリエAだが、今後のウディネーゼに是非注目して欲しい。

(筆:Qoly編集部 N)

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