90年代中頃、(いくつかのケースを除き)ゴールキーパーもフィールドプレーヤーと同様に味方から送られたボールは足で処理することが必要になった。そして、それと同時期にディフェンスラインを高く保った戦術が一つのトレンドとなり、これまでにはなかった、「守備範囲の広さ」も評価材料となった。この頃からだろうか。積極的な飛び出し、精度の高いディストリビューション(ボール配給)が行える彼らは「攻撃的GK」と称されるようになった。そして、その後、進化番とも言うべき、プレースキックなどで自らもゴールを狙う新種が登場。パラグアイ代表として一世を風靡したホセ・ルイス・チラベルや今もなお現役のロジェリオ・セニらが新機軸を作り上げた。だが、その型には当てはまらない異種タイプもサッカー界には存在する。
(現地時間)日曜日、アルメリアと対戦したデポルティーボは相手チームにゴールを奪われ、1-0のビハインド状態で後半アディショナルタイムを迎えていた。コーナーキックのチャンスを得たデポルティーボは、最後の攻撃としてゴールキーパーのダニエル・アランスビアもペナルティエリア内で準備した。そして、思いもよらぬシーンが生まれる。キッカーのパブロ・アルバレスから放たれたボールはアランスビアへ一直線に向かうと、最高のタイミングで空中を舞い、強烈なヘディングシュートをアルメリアのゴールへ叩きこんだのである。本人も「まさかの展開」に驚愕。雄叫びを上げながら走り回り、最後はチームメイトに揉みくちゃにされた。
※高いだけではなく、巧さも感じられるヘディングであった。
これまでにペーター・シュマイケル、ポール・ロビンソンらが同じような状況でゴールを記録したことがあるように、試合終了間際での「ゴールキーパーのゴール」は意外と多い。相手のゴールキーパーが目測を誤り、ロングキック、パントキックから生まれたゴールも合わせると、下記のようなまとめ動画を作ってしまえるほどだ。しかし、残念なことに、未だに彼らを称するフレーズは誕生していない。ハイセンスな命名者の登場を期待したい。
※ゴールキーパーの得点集(FK、PK除く)
※慣れないヘディングにはミスはつきもの?
(筆:Qoly編集部 T)