ボルトン・ワンダラーズのクラブドクターを務めているジョナサン・トービンは、21日に記者団の取材に答え、ムアンバの絶望的な状況からの奇跡的な回復に驚いていると話した。
「ファブリスはピッチで倒れた後病院に着くまでの48分、そしてそれからの30分、合計で78分も心臓が止まっていた。その間、死んでいたようなものだ。我々は最悪の事態を恐れた。まさか、こんなに早く回復を見せるとは思わなかった。信じられないことだよ」
ムアンバはピッチに倒れた後に2回、運ばれる途中のトンネルで1回、救急車で12回に渡ってAEDで電気ショック治療を受けたが、心臓は回復することがなかったという。
「病院に治療を引き継いだ後、廊下に出て叫んだよ。これはファブリスなんだ。通りで倒れていた見知らぬ人じゃない。彼は家族であり、毎日ジョークを言い合っているんだ、と…」
偶然ファンとして試合観戦に訪れていたロンドンチェスト病院の心臓外科顧問アンドリュー・ディーナーは、すぐさまピッチに下りて治療を助けた。彼もムアンバの回復に驚きを隠さない。
「心肺蘇生を試みる場合、出来るだけ早く行うことが重要だ。長くなればなるほど蘇生の可能性が失われていく。彼は若く、治療に当たった人々も心肺蘇生法の訓練を受けていた。
私は長期的な視野で治療を行わなければいけないと考えていた。しかし彼は今のところ驚異的な速度で回復しつつある。
彼の意識が戻ってから2時間後、私は彼の耳にささやいた。“あなたの名前は何ですか?”と。彼は『ファブリス・ムアンバだ』と答えたよ。次に“君が素晴らしいフットボーラーだと聞いているよ”と言うと、『頑張るよ』と返してきた。思わず涙を浮かべてしまったよ。
過ぎたことは言えないが、現時点では彼の生命に危険はない。サッカー選手として復帰できるかを判断するにはいささか早すぎるがね」
さらに、現在ムアンバの治療を担当しているティム・モヒディンも初期治療の適切さを賞賛する。
「ファブリスは回復の兆しを見せ続けています。我々の期待を超えています。とはいえ、これから続く長い治療期間の第一歩にしか過ぎないことも確かです。
彼は特別な症状に襲われましたが、特別な治療を受けることが出来ました。重要なのは、ホワイト・ハート・レーンから病院までの間、正しい専門知識の元で迅速かつ効果的な心肺蘇生法を受けたことです。
彼が普通の生活に戻れる可能性は高いと言えます」
(筆:Qoly編集部 K)
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