インドでは医療体制の不備が明らかに
イングランドではファブリス・ムアンバが奇跡の回復を見せる中、遠くインドでは医療体制の不備により大きな犠牲を払う事故が起こった。
3月21日に行われたバンガロール地区Aリーグ、バンガロール・マーズ対サウス・ウェスタン・レイスウェイズの試合中、後半28分にピッチに入った27才のヴェンカテシュが心停止を起こした。
この時点で周りに救急車は用意されておらず、バンガロール・マーズのチームメイトが“トゥクトゥク”と呼ばれる2輪タクシーをチャーターし地元の病院に向かったが、到着時に死亡が確認された。
バンガロール地区サッカー協会では、毎年A、B、Cの3ディヴィジョンのリーグを開催しているが、医師を準備することは義務づけられていなかった。チームメイトとフィジカルコーチが一般的な治療を試みてはいたが、救急車はやってこなかった。スタッフと選手たちは、自らヴェンカテシュをピッチから運び、病院へと送ったとのことだ。
死亡を確認したホスマット病院のロワイヤン医師はこう語っている。
「到着したときには既に呼吸はありませんでした。心肺蘇生法と除細動ショックを試みたが、時は既に遅かったのです。
外傷はありません。サッカー選手によく見られる突然死現象だと思われます。倒れてからすぐに適切な医療と酸素を与えられていれば、生存のチャンスがあったかもしれません」
ヴェンカテシュは5年前からバンガロール・マーズに所属。父親のジャンラジは軍基地の工場で働き、母親のシュシラは主婦、他に妹を一人持つ。ヴェンカテシュの親族や友人は事件後、バンガロール地区サッカー協会に対して裁判を起こす可能性を示唆している。
バンガロール地区サッカー協会会長を務めるスワミー氏は「正確にはまだ何が起こったのか分からない。もっと調べなければいけない」とコメントした。
(筆:Qoly編集部 K)