仁川ユナイテッドを蝕む病巣

4月11日、仁川ユナイテッドの監督を務めていたホ・ジョンムが辞任を発表した。

氏は「成績不振が理由だ」と話していたものの、スポーツ朝鮮のパク・チャンジュン記者は「それはただの表面的な理由だ」というコラムを掲載。それを抜粋して紹介したい。


「ホ・ジョンム監督は 『成績不振の責任を取って辞任する』 と話した。しかしそれは表向きの理由だ。クラブの内外の病巣に耐えることが出来なかったのだ。

辞任は、スポーツを政治に利用した仁川市、無能なフロント、そしてクラブの上に君臨しようとするサポーターが作り出した、相対的な産物なのだ。

仁川市にサッカー運営の意思はなかった?

ソン・ヨンギル市長は、ホ・ジョンム監督を招聘した際に『跳躍できるように全面的な支援をし、“ホ・ジョンムサッカーセンター”を建設し、地域のサッカーの基盤を作る』と約束した。

それは空約束だった。センター建設は頓挫し、仁川の財政は悪化した。ある関係者は 『最初からサッカークラブ運営にはあまり興味がなかったようだ』 と明かした。

仁川サッカー競技場という立派なスタジアムは作ったが、作っただけであった。旧態依然とした運営。天下りも横行した。ホ・ジョンム氏と対立した前社長も、市長が直接任命した。

空席になった社長に就任するのではないかと噂された人は、カジノ営業の問題を話した後に交渉が決裂したことが分かっている。そもそもサッカークラブの運営よりも他のところに意味を持っている人に要請したということだ。

FIFAは 『サッカーは政治から自由でなければならない』 と書いている。しかし仁川のサッカーファンは有権者でなければいけないようだ。ある関係者はこう吐露した。

『ファンの意見を全て聞いてくれると約束してくれたのに、いざクラブに来てみたら“金がないからそちらで対処してくれ”の一点張りだ。どうにもならないよ』

無能フロントも変化しなければ…

クラブの内部も分裂した。ホ・ジョンム監督を擁護するかしないか。ホ・ジョンム氏は放漫な運営と年俸の高騰が膨らんで、仁川サッカー協会やマスメディアの批判を受けた。

先頭に立って監督を守らなければならないフロントは、隠れた。選手に集中しなければならないホ・ジョンム監督に直接弁明させるだけに留まらず、監督の罪を暴くことに務める始末であった。Kリーグのある関係者はこう感じたという。

『ホ・ジョンム監督を守らなければならない仁川のフロントが揺れている。むしろ辞任を煽っている感じだ』

前社長の辞任も求心力の喪失に繋がった。前社長はクラブの全てを掌握し、スポンサー獲得や事務所の運営にも関与した。そして彼が去ると右往左往する。社長は空席になり、実務を担当していた副団長もクラブを去った。賃金未払い問題の時も、時間に任せるのみだった。

そうでなくても従業員の苦労は大きかった。仁川は、ここ数年インターンは受け入れていたものの、正社員を採用していない。熟練度の低いインターンに頼らざるを得ない悪循環に陥っていた。仁川サッカー競技場での暴行事件などの問題も、フロントの未熟さと専門性に長けた人材の不足が原因だ。ある関係者はこう告白した。

『社長の不在は大きかった。社長は“魚の取り方を教える”のではなく、直接全てを指示していた。そのため、私たちだけが残ったあと、何をすべきかが分からなかった』

クラブの上に君臨しようとするサポーター

彼らはクラブへの愛情だという。しかし実際はただの欲望であり、それ以上でもそれ以下でもない。ホ・ジョンム監督は当初からサポーターグループとの確執があった。

代表監督時代に悪質な書き込みにうんざりし、インターネットを拒絶したホ・ジョンム氏が、直接クラブの掲示板に書き込みをした。しかし尊敬を受けることも、礼儀すらもなかった。意思疎通など出来るはずもなかった。

昨年8月にはサポーターとのミーティングを行った。30人あまりのサポーターは選手用の出入り口に集まり、『ホ・ジョンム出てこい』 と叫んだ。

ホ・ジョンム氏は仁川商工会議所の関係者と会い、財政支援をお願いした後に、大急ぎで練習場に駆けつけた。しかしサポーターとクラブの発展の方向性について話せるという期待は、ただの青い考えだった。

若いサポーターたちはホ・ジョンム監督を非難することだけに熱心だった。そして、監督を叱咤したことを、英雄にでもなったかのようにソーシャルメディアで自慢したのだ。

クラブ内でもサポーターに対する視線は冷たい。ほとんどのクラブが遠征費の財政的支援はしているが、仁川サポーターほどに露骨なところはない。最近では、市の関係者に対して 『なぜ遠征でおやつを支給してくれないのか』 と訴えたという話まで出ている」

(筆:Qoly編集部 K)

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