日本一?過激なサッカー講演会
先月の28日、池袋にて流通経済大学中野雄二総監督の講演会が開かれた。
4月に東邦出版より発売された『なぜ流通経済大学サッカー部はプロ選手を輩出し続けるのか?(秋元大輔:著)』
を記念してのもので大変興味深い話が聞けるとあって大雨の中Qoly編集部も緊急参戦した。
ノッケから山村&比嘉の五輪必要論・不要論についてというリスキーな話題からスタートすると、でるわでるわの裏話。比嘉&山村の爆笑エピソードや風間監督就任秘話、ライセンス制度をめぐる問題点などなど「中野さんそこまで言っちゃって大丈夫なの!?」と聞いてるこちらが心配したくなるような話題満載の一時間半だった。
とりわけ、白熱したのはJ2クラブと大学間におけるトレーニングフィー未払いに関する議論。中野氏は福岡大学の乾監督とならび、大学サッカー界の変革者としてサッカー協会に数々の提言をなしている人物でもある。痛烈な協会批判ともうけとれるその発言からは、「育成のフロンティア」としての気骨と信念が垣間見えた。 いまや大学サッカーはJにとって最大の人材供給源となりつつある。その現場の最前線に立つ中野氏の言葉は、一サッカー関係者として真摯に考える必要があるだろう。
●比嘉選手について
・内部進学の際の履歴書に特技欄にアンパンマンの絵を書いた
・呼び出されたが、担当者が寛容な人だったので「絵が得意」と解釈してくれたので内部進学ができた
・算数(二桁の引き算)ができない
・漢字が読めない
・相手への対応力がある(酒井高徳よりもその点が優れている)
・永井とは波長が合う
・論理的なものは苦手だがワイルド、野生的
●山村選手について
・国見高校ではどんぶり飯五杯ぐらい食べる、どんぶり飯を食べないと食堂から出られない
・体をはるプレーやマリーシアといった激しさ荒々しさにかける
・人間的に優しすぎる、真面目すぎるためぎりぎりのファールができない
・ヘディングの強烈さがない
・状況判断とポジショニングがいい
・中野監督はセンターバックとして積極的な評価をしていたが世界で戦う上では今のままでは厳しいのではないか?(比嘉と逆のタイプ)
●鹿島アントラーズ
・鹿島アントラーズは一貫して4-4-2システムをとっている
・日本人&ブラジルのツートップという伝統
・次期監督候補は関塚さんだった
●風間八宏監督
・流通経済大学が唯一5点取ったのに負けたのが筑波大学、2008-2012年に指揮をとっていたのが風間八宏監督で前から注視していた
・風間監督のフロンターレ監督就任は筑波の学生に電話した中野監督が学生の反応(今は何も話せません的な)をマスコミに訪ねられたので正直に話したところそれをすっぱ抜かれた
・風間監督は大学よりもトップリーグで自分のやりたいサッカー哲学を高レベルでやりたかったのではないか
・攻撃的なスタイルを目指すスタイル(バルセロナ風と思われる)は時間をかかるだろうが川崎フロンターレは間違いなく変わるだろう
●サッカー協会
・中野総監督はS級ライセンスを持っていないし、今後とるつもりはない
・ライセンス制度の問題点→受講期間が三週間と長期にわたるのは現場の指導者にとって大きな障害
・天皇杯2回戦と日程が重なっているため受講できないことを協会に伝えたら、受講を辞退しなさいと言われた
・現場の事情を考慮してくれないのは問題がある
・ユニバーシアード代表では“総監督”という新しい立場を認めなかった
・前例がなかったからで、そのまま非公式の総監督として大会に参加した
●Jリーグ
・Jのクラブは(支払うべき)トレーニングフィーを払うなら選手を獲得できないと言ってくる
・経営が圧迫しているためで選手獲得の取引材料に使ってくるのだが、協会に罰則規定がないのでルールがなし崩しになっている
・外資参入を閉ざしているJリーグ
多くのクラブで経営が厳しく、一方でビッグクラブができない
●指導のポリシー
・選手目線の指導を常に心がけている
あとがき:実は講演会前に掲載許可をとっていたものの過激な内容ゆえこの10日あまり掲載するべきか悩んでいたのだが、他社も記事にしたこと、社内でも「うちがやらなきゃ何の意味がやるの?」的なお叱りを受けたのでこの筆をとった次第である。箇条書きメインのスタイルであるが、少しは雰囲気が伝われば幸いである。