「2022年のカタールW杯でも同じ事が起こるでしょう」

6月8日に行われたワールドカップ・アジア最終予選第2節。オマーンの首都マスカットで日没前に行われた試合では、気温は40度前後をマークした。その結果オーストラリアは全くプレスをかけられず、苦戦した。2022年に開かれるカタールでのワールドカップにも、未だに同じ課題が残っている。

ザ・ナショナル紙のオズマン・サミウディン記者は、「選手たちは、中東での試合では『暑さを回避する』ことが必要になる」という記事を掲載。アル・ジャジーラのメディカルスタッフを務めているニック・ワースに、高温の中でもプレーについてインタビューを行った。

「細かいことが大切になります。普段よりも多くの水分を取らなければなりません。試合前やハーフタイムにエナジージェル、エナジーバーを与えています。基本的には普通のスポーツドリンクを使用しますが、時には電解質サプリメントなどを添加します。これらは発汗によって失われるミネラルを補ってくれますので」

(選手はゲーム中に水分をどれくらい失うのですか?)

「高い気温は想像以上に水分を失わせます。経験則ではありますが、もし1kgを失った場合、少なくともその半分以上を補給しなくてはなりません。多くのプロ選手は意識してそれを行っていますが、そうしていない選手もいます。

しかし、脱水は筋肉の痙攣を起こしやすくしますので、パフォーマンスに大きな影響を与えます。また、思考能力の低下にも繋がります。水を取らないことは、意思決定の誤りをも導くのです」

(外国人選手よりも、中東の選手の方が慣れているのでしょうか?)

「高温になれば、慣れている、慣れていないに関わらず大きな影響を与えます。ある選手はシーズンはじめの涼しい時期に素晴らしいパフォーマンスを見せましたが、気温が上がると不調に陥りました。我々はそういった1部の選手のためにハーフタイムにアイスジャケットを用意し、クールダウンに利用しています」

(外国人選手はすぐに慣れることが出来るのですか?)

「ここで一夏を経験すれば、どのようなことが起こるかが分かるので、準備することが出来るようになります。ある種の人々は、ここの夏は地獄のようなものだと話します。確かに暑いです。しかし、多くの人々がここで現に働いているのです」

(トレーニングの時間にも変化があるのですか?)

「我々のトレーニングスケジュールは、常に気温に合わせています。数週間前までは17:30から練習を始めていましたが、現在は19:00からに変更されました。また、ラマダン月であるプレシーズンのトレーニングは22:00からの開始になります」

(アラビアでの高い気温は、サッカーをよりスローにすると思いますか?)

「それは間違いありませんね。暑さの中でのサッカーは、通常とは別物です。プレミアリーグのクラブがこちらにやってきたとき、非常に苦労していました。また、湾岸諸国の中でも差がありますね。サウジアラビアの乾燥した気候とは違い、ここは湿度が高く非常に蒸し暑いです。

おそらく、2022年のカタールでのワールドカップでも同じ事が起こるでしょう」

(筆:Qoly編集部 K)

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