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名将の器とは?
南アフリカ戦をドローで切り抜けグループ2位で通過したなでしこジャパンだが、佐々木則夫監督の“ドロー狙い”の談話に対して潜在的批判を内包した記事が氾濫している。多くが表面だけをなぞった「ニュース」である。
私はこれらの記事は「スポーツの祭典において2位通過狙いはスポーツマンシップに反する」という平易な着眼点から潜在的な批判や論争を煽る記事と捉え、断固たる決意を持って抗いたい。むしろ佐々木監督の談話は大いに賞賛すべきことである。佐々木則夫は監督として当然のことをしたのだ。
賞賛すべき理由を思い起こす上で今一度よく考えて欲しい事がある。目標がどこにあるのか。また、世界中の人々が各競技で自国の代表選手に期待することだ。
そして、その答えはひとつしかない、「世界一」である。
この単純明快な目標を思い起こせば佐々木監督がインテンショナルにドローを望んだ事は正当化される。
「2位で通過すればグラスゴーへの長時間移動を避ける事ができ、なおかつアメリカやフランスとの対戦を避けられる」と語ったが、これは佐々木監督の採用した金メダルへの戦術なのだ。試合前にターンオーバーを明言した事もこれらの伏線である。
しかし、まだ佐々木監督の談話の真意は50%に過ぎない。プレスに対して語った残りの50%は「選手たちのフォロー」である。
サッカーをよく知らない国民も多く観戦する五輪において、南ア戦もなでしこジャパンは勝利を期待された。しかし、結果はインテンショナルなドロー。そしてそれを佐々木監督は公表した。
すでに読者の多くはこの先を理解してくれた事であろう。
佐々木監督が「低調に見えてしまった」パフォーマンスについて、国民からの批判の矢面に立つという点でも、選手たちのメンタル面でもきっちりとサポートしたのだ。
これが監督の仕事である。
企業でいえば上司が成果やチームや部下を考えるようなものだ。「スペシャル・ワン」ことレアル・マドリーのジョゼ・モウリーニョが大一番の前に用いる手法と類似している。監督の仕事はピッチに立っている11人のチカラを最大化させる事であり、選手をいかに快適にプレーさせるかが重要なのだ。金メダルの期待がかかるなでしこジャパンは既に多くのプレッシャーを感じているはずだ。だから佐々木監督は余計なプレッシャーを取り除いたのだ。
以上が残りの50%だ。
男子スペイン五輪代表監督のルイス・ミジャは予選敗退後に「最高責任者は自分」と語った。
佐々木監督は勝負に出ている。余計な雑音はいらない。プロフェッショナルに対して失礼である。
我々は彼が率いるなでしこジャパンをただ信じて応援すればいい。
(筆:Qoly編集部 L)