リーグ・ドゥ、昇格争いの行方は？ Vol.1

フランス2部に当たるリーグ・ドゥは、7月にいち早く開幕を迎え、先々週末で第14節を終えた。カップ戦のために一週間休みとなるこのタイミングで、今季のここまでの戦いを振り返ってみたい。

力が拮抗しており混戦となる事で知られるこのリーグは、数年間3部から昇格してきたチームがそのままの勢いで1部昇格を成し遂げることが続いてきた一方で、1部から降格してきた歴史あるチーム、ナント、ランス、モナコなどが退団した選手の穴を埋められず苦戦するという流れとなっていた。

「一年目のジンクス」に飲み込まれるオセール

それに逆らえなかったのが、昨季リーグ・アンから降格してきたフランス1、2を争う名門、オセールである。1部では厳しい懐具合と言われてきたが、2部であればトップクラスの資金力であり、下部組織の充実度にかけては並び立つものがない。ところが今季は非常に波のある試合運びをし、勝ったり負けたりを繰り返し、結局中位以下に沈んでしまっている。

オセール：基本フォーメーション

スイス代表DFグリヒティング、ダルヴィン・エンディンガ、ロイ・コントー、アントニ・ル・タレクなどが退団したものの、ルディ・アダードやジョージ・マンジェク、デニス・オリエチ、オリヴィエ・カポなど実績ある選手たちを残留させる事に成功した。

チームを率いるジャン＝ギー・ヴァレンム監督は、2008年からランスを率いていた事で知られている指導者。前線にスピードと突破力がある選手を並べることが多く、縦に早いカウンターを狙う戦術を好む。開幕からしばらくはコンゴ代表との兼任を続けていたが、10月にオセールに専念すると宣言し一本化。チームの強化に本腰を入れている。

新たにレギュラーとなった選手も才能豊かだ。ユースから昇格したカメルーン人FWポール＝ジョージ・エンテップの突破力はリーグ屈指。モナコから借り受けたテレンス・マケンゴは、今年のトゥーロン国際大会でフランス代表として活躍した大型黒人FW。大柄ながらも抜群の身体能力を備え、パワーとスピードを併せ持つアフリカンらしいストライカーだ。

ベンチには一昨期のカーンで大活躍を見せたウインガーのステーヴン・ランジル、中盤ならどこでもこなせるプランス・セグベフィア、監督の教え子であるLSBマルコ・ラモスが控え、2部の基準からすれば選手層も厚い。

それなのに戦いがあまりに不安定なのは、要するにFW陣がカウンターに備えて前に残った上で守り切れるほど守備力がなく、かといって攻撃で押し切って点の取り合いを制する事が出来るほど決定力がないからである。存在感を見せながらも、エースストライカーのマケンゴがわずか1得点しか奪えないのでは、結果が出なくて当然ともいえる。

しかし逆に言えば、才能豊かな前線が覚醒すれば、後半戦で一気に順位を上げる事も考えられる。既に昇格圏とは勝ち点7差に離されているものの、まだ試合は半分以上残っている。大逆転の可能性もあるチームであると言える。

コルニェの退団が痛いディジョン、徐々に降下中

また、ディジョンも同じく退団選手の穴を埋めきれずに苦戦をしているチームだ。開幕からしばらくは快進撃を続け、一時は首位にも躍り出たが、現在は7位に降下。まだ辛うじて上位には付けているものの、この結果はバンジャマン・コルニェをロリアンに放出するまでの貯金によるものだ。それ以降の8試合で得た勝ち点はわずか7。泥沼状態であると言っていい。

ディジョン：基本フォーメーション

ユヌス・サンカレ、フローラン・モレがゲームを組み立て、運動量豊富なトマ・ゲルベールとポストプレーに長けたラファエル・カセレスがボールを収め、コロ・コネがドリブルでアクセントを付けるという戦術を選択してきたディジョン。しかし、コルニェ退団後は得点力の欠如に苦しみ、いいゲームをしながらも失点し敗れるという展開が続いていた。

しかし、ディジョンには救世主となる可能性を感じる選手が現れている。今季開幕前に3部のブール＝ペロナスから獲得した23才のストライカー、ジュリオ・タヴァレスである。当初はあまり期待されていなかったが、クプ・ドゥ・ラ・リーグ（リーグカップ）での途中出場で結果を残し、出場機会を増やす。するといきなりゴールを量産し、わずか6試合の出場で5ゴールを奪った。圧倒的な身体能力を持ち、加えてそのタイプの選手には得てして欠けがちな決定力にも優れている。ウイングとしての入団だったが、すっかり点取り屋の風格を醸し出している。