早くも3分の1(12試合)が終わった今シーズンのプレミアリーグ。マンチェスターの両雄と大型補強に出たチェルシーが強さを見せる一方、強力なスカッドを抱えるクイーンズ・パーク・レンジャーズがいまだ白星を挙げられていないなど、大小様々なトピックがサッカーファンを賑わせている。
前述したように上位争いはマンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシーの3チームを軸に展開されているが、今シーズンはウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン、エヴァートン、ウェストハムといった中堅・昇格クラブもこの争いに加わっており、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの出場権を巡る戦いは熾烈なものになりそうだ。
そして、今回の当コラムの主役こそが、好調エヴァートンを引っ張るマルアヌ・フェライニである。
・フィジカルとテクニックを高次元で兼備
トップ下あるいは中盤センターを主戦場とするフェライニの最大の武器は、1メートル94センチの長身を生かしたプレーである。圧倒的なフィジカルを誇るフェライニに一旦ボールを預け、そこから好タレントが揃う両サイドに散らし、サイドを上手く活用する形がエヴァートンの攻撃のスタイルだ。
特に、1トップのニキツァ・イェラヴィッチの背後でプレーする機会が多い今シーズンは左サイドに流れてプレーする時間帯が多い。フェライニが安定したポストプレーで時間とタメを作ってくれるおかげで、クロスの質に定評のある左サイドバックのレイトン・ベインズ、プレミアリーグ屈指のテクニシャンであるスティーヴン・ピーナールの良さが最大限生きており、イェラヴィッチの負担も大幅に軽減されている。
また、フェライニには「足元のプレーが雑」という長身の選手にありがちな欠点が存在しない。むしろ足元のプレーは得意としており、ピッチの至るところに顔を出し、そのテクニックで攻撃を活性化させている。近年のプレミアリーグではエデン・アザール、フアン・マヌエル・マタ(チェルシー)、ダビド・シルバ(マンチェスター・シティ)、香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)、サンティ・カソルラ(アーセナル)など小柄な魔術師たちの活躍が目立つだけに、高身長と独特のアフロヘアーで圧倒的な存在感を示すフェライニは貴重な存在であると言えるだろう。
今シーズンは前述したようにトップ下でプレーする機会が多く、ゴールへの意識も以前と比べて高くなっている印象だ。事実、11試合に出場し、すでに6ゴールをマークするなど、きちんと結果を出している。(ちなみに昨シーズンは34試合で3ゴール)フィジカルとテクニックを高次元で兼備している選手はそうそう多くないだけに、このまま好調を維持すれば、ビッグクラブからのオファーが舞い込んでくるのは間違いない。
・ベルギー代表での活躍にも期待
ブラジルワールドカップの予選を戦うベルギー代表でも、フェライニは中心選手としての活躍が期待されている。
ベルギー代表には先程も触れたアザールを筆頭に「ドログバ二世」と評判のロメル・ルカク(ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン)、期待の新星であるケビン・デ・ブライネ(ブレーメン)、フェライニと同僚のケビン・ミララス、ポルトガルリーグで声価を高めたアクセル・ヴィツェル(ゼニト)、中盤センターに新境地を拓いたムサ・デンベレ(トッテナム)、マンチェスター・シティでキャプテンを務めるヴァンサン・コンパニ、ディフェンダー離れした得点力を誇るトーマス・ヴェルマーレン(アーセナル)、ヤン・ヴェルトンゲン(トッテナム)、アトレティコ・マドリーで研鑽を積むティボー・クルトワ、反射神経が自慢のシモン・ミニョレ(サンダーランド)など好タレントの枚挙には暇がない。また、ダニエル・ファン・ブイテン(バイエルン)、ティミー・シモンス(ニュルンベルク)、ジャン=フランソワ・ジレ(トリノ)といった経験豊富なベテランも存在しており、このタレント集団がしっかりとまとまれば、世界の強豪とも互角以上に戦えるだろう。
現在、ベルギーはクロアチア、セルビア、ウェールズなどと同居するグループAで首位タイに立っている。各グループの首位は無条件で本大会の出場権を手に入れることができるだけに、今後も負けられない戦いが続く。エヴァートン、ベルギー代表の両方で存在感を放ち、今月22日には25回目の誕生日を迎えるフェライニから今後も目が離せない。
2012/11/20 ロッシ
※選手表記、チーム表記はQoly.jpのデータベースに準拠しています。
筆者名 | ロッシ |
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プロフィール | 『鹿島アントラーズと水戸ホーリーホックを応援している大学生。ダビド・シルバ、ファン・ペルシー、香川真司など、足元が巧みな選手に目が無いです。野球は大のG党』 |
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