タイトルからこのコラムで伝えたいところを二つ示しておきます。
①シンプルにアクションサッカーの紹介
②パスサッカーの絶対性の否定
当然順を追っていきたいと思います。
まずはアクションサッカーとはなんぞや?ということです。
現在筆者がアクションサッカーというものと密接にかかわっているのですが、アクションサッカーというのは競技の名でサッカー、フットサルとはまた異なるものです。フットサルに近いものであるという認識をしてもらえれば、一定の理解が得られます(ただし4人制)。しかしそこでフットサルとは明らかに違うルールがいくつか存在します。
1.身体を当てる、手を使ってのチャージの禁止
これは要するにバスケットボールのディフェンスの仕方を想像すれば理解できると思います。簡単に言えばインターセプトのみでボール奪取が可能だということです。
2.二度のバックパスの禁止
これは一度自陣でキーパーにバックパスをするともう一度キーパーにバックパスすることはルールで禁じられるというものです。相手陣地にボールが入るか相手にボールが当たればまたリセットされます。
3.ゴールエリアに侵入禁止
これはキーパーが手を使える範囲(ゴールエリア)にキーパー以外一切入れないということです。
最後に、アクションサッカーはフィールドがネットに囲まれていてボールがアウトしないので高い運動量を必要とすることも忘れてはいけません(交代自由)。
ここまである程度のルールを説明したところで、実際のアクションサッカーがどのような試合展開になるかということについて言及する必要があります。アクションサッカーではサッカーでもしばしば取り上げられるハンドボール化という現象が顕著に現れます。これは非ボールホルダー側が前線でのチェイスを放棄し、ゴール前にブロックを形成するというものです。
ここからようやくテーマに入ります。相手にブロックを形成された状態はさながらバルセロナが相手を押し込んでいるそれと類似しています。バルセロナはそこから更にパスを回して崩しにかかります。そしてアクションサッカーに参加しているチームの多くもバルセロナと同じ道を辿ります。ここでアクションサッカー初心者である筆者に疑問が生まれたのです。
なぜミドルを打たないのか?
アクションサッカーでキーパーを本職の方がやっていることは稀であり、経験者が強烈なシュートを放てば完璧に崩してゴールを奪う確率よりはるかに高いはずです。加えてアクションサッカーにおいて最も点が入る形がカウンターであり、相手に前を向いた状態でボールを奪われる可能性が高くなる最終局面でのパス回しはリスキーで効率的には思えません。
「勝利>完璧な崩しからのゴール」であると考えたとき日本におけるパスサッカーの絶対性を感じてしまうのです。数年前グアルディオラによる美しくかつ強いバルセロナが誕生したときから日本のメディアや雑誌は今日までそのパスサッカーをまるで正義かのように扱ってきているように思えます。アクションサッカーで見えるバルセロナの模倣も前述の影響を少なからず受けていることは明らかです。たしかに強くしっかり崩し切ってゴールを陥れるその形は魅力的ですが、他にもゴールを奪う方法は様々ありパスサッカー以外を「アンチフットボール」と表現するなど言語道断です。
今はバルセロナ=パスサッカーが時代の先頭を走っていますが、それが覆れば、現在日本にあると考えられるパスサッカーの絶対性は、日本サッカーの発展を考えたときにある種危険な思想と言いざるを得ません。今後「パスサッカー」そのものをどう扱っていくかが日本サッカー界の至上命題だと筆者は考えます。
最後に余談ですが、今コラムでアクションサッカーに興味や疑問を持たれた方、どしどしお問い合わせください。
筆者名:平松 凌
プロフィール:トッテナム、アーセナル、ユヴェントス、バレンシア、名古屋グランパスなど、好みのチームは数あるが、愛するチームはバイエルン。
ツイッター:@bayernista25