欧州司法裁判所は18日、英国内におけるFIFAワールドカップとUEFAユーロの完全有料放送が違憲であるとし、FIFAとUEFAの上告を退けた。この判決は今後、高騰し続けるヨーロッパサッカー放映権に大きな影響を与える可能性があると注目されている。
#ECJ rejects FIFA & UEFA appeals on free-to-air TV requirement for World Cup and Euro championships in UK & Belgium http://t.co/kWynDdM6bO
— EU Court of Justice (@EUCourtPress) July 18, 2013
事の発端は2011年。欧州司法裁判所が国家的なスポーツイベントであるFIFAワールドカップとUEFAユーロにおいては、英国内での独占的な有料放送契約を認めない旨を発表した。
これに対してFIFAとUEFAは異議を唱え、上告を決定。しかし、ヨーロッパの最高裁判所でもある欧州司法裁判所は2011年の第一審判決を合憲と再び判断し、今回の決定に至った流れである。
もともと有料放送による独占中継が形式化していたヨーロッパにおいては、「ユニバーサル・アクセス権」という権利が認められつつある。スポーツ情報の自由なアクセス(視聴)を保証するこの権利が大きく作用し、FIFAワールドカップの決勝や準決勝、また自国代表の試合は消費者が無料で視聴できるようにすることが義務付けられている。
『BBC』によると、英国国営放送であるBBCと民間放送会社ITVはFIFAワールドカップ2014年大会の決勝戦の放映権をすでに確保しており、両者ともに無料での放送を保証しているという。
しかし、もしFIFAやUEFAが裁判に勝利した場合、2018年ロシア大会の放映権がどうなるのかという恐れも懸念されている。
FIFAは2010年南アフリカ大会で、少なくとも20億ドル(およそ2兆円)ものテレビ放映権を獲得しており、UEFAもまた、UEFAチャンピオンズリーグの放映権で毎年数億ドルの利益を享受していると噂される。
今日ではサッカーの有料放送契約は巨大ビジネスになっており、今回の判決が英国以外にも伝播するのか、そしてこの巨大放映権ビジネスにいかなる影響を与えるのか、海外サッカーファンの多い日本にとっても、決して他人事ではないニュースとなっている。