世界的名将であるジョゼップ・グアルディオラ監督のもとで強さを見せつけてきたマンチェスター・シティ。
プレミアリーグ5連覇を目指した今季はおもわぬ脆さを露呈することになったが、世界的スター選手が揃うチームの市場価値は世界1位の13億ユーロ(2099億円)を誇る。
そのシティが1月にスペインのバジャドリーから青田買いしたのが、弱冠18歳のジュマ・バー。シエラレオネ出身の195cmを誇る大型センターバックだ。
シティが600万ユーロ(9.6億円)に設定されていた契約解除料を支払った形だが、引き抜かれたバジャドリーが法的措置をほのめかすなどの事態に発展した。
『BBC』によれば、バーはわずか9か月前までは人工芝のシエラレオネ国内リーグでプレーしていたが、そこからあっという間に世界最高峰のクラブに引き抜かれるまでになったという。
幼少期には父親のパン屋を手伝い、練習前にも母の手伝いをしていたそう。
「マンチェスター・シティの素晴らしい選手たちと一緒にプレーできたら夢のよう。普段はプレイステーションで彼らとプレーしている。現実世界で彼らとプレーできたら最高だよ。
いつも父さんは早朝からパンを焼くので、自分は午前4時に薪を運んでいた。父さんの作るパンは世界一さ。そのパンをみんなのお店によく運んでいた。
母は路上でチキンを売っていた。売る前には肉を叩くのを手伝っていたよ。家族を助けることができて本当にうれしい」
当初はストリートで裸足のままプレーしていたというが、15歳で国内トップリーグでプレーするなど、瞬く間に頭角を現したという。
昨年9月にはスペイン1部にデビューしたが、故郷では母親や親族がそれを見守っていたそうで、「試合後にその映像を見て泣いた。友達にも見せたよ。母さんにはいつか僕のことを誇りに思うような日が来ると言っていたんだ」とも語っている。
現在はシティからフランス1部のRCランスに貸し出されているバーは、3月にはモハメド・カロン監督が率いるシエラレオネ代表でデビューする見込み。
かつてインテルなどでプレーしたカロン監督は「彼は着実的に本当に優れた選手。ボールを守ることができるし、パスレンジもいい。デュエルも抜群だし、狭いスペースでドリブルもできるし、試合の組み立てもやれる。それはセンターバックにとって重要な資質」と大きな期待を口にしている。