歴史が変わる瞬間が、いよいよ数時間後に迫っている。
日本時間8日早朝、アルゼンチンのブエノスアイレスで行われる第125回IOC総会にて、2020年夏季オリンピックの開催地がついに発表される。現在、最終候補地には東京のほかマドリード(スペイン)とイスタンブール(トルコ)の3都市が残っており、もし東京が開催地に決まれば、56年ぶりの日本での夏季オリンピックとなり、冬季と合わせると通算4度目の開催ということになる。
今回は、そんな2020年五輪の最終選考に残っている3都市について、サッカーにまつわるあらゆるトピックをまとめてみることにしよう。
・イスタンブール(トルコ)
まず、最初に最終プレゼンテーションに登場するのがイスタンブール。イスタンブールと聞いてピンとくる方も多いとは思うが、イスタンブールの招致計画によると、04-05UEFAチャンピオンズリーグの決勝戦ミラン対リヴァプールが行われたアタテュルク・オリンピヤット・スタドゥが今回の大会のメインスタジアムに指定されている。
リヴァプールがわずか6分間で3点差を追いつき、PK戦の末大逆転劇を演じたあのスタジアムということもあり、サッカーファンにとってはどこか馴染みの深いスタジアムである。
トルコはこの3都市の中で最も市民からの支持率が高いとされており、招致活動にはかつてバルセロナやマンチェスター・ユナイテッドのスポンサーを努めたトルコ航空も協力しているとのこと。その影響もあってか、昨シーズンのトルコリーグでは招致メッセージを込めたユニフォームを各クラブが着用していた。
ヨーロッパとアジアの文化が融合するイスタンブールは「Bridge Together」を合言葉に同国初となる五輪招致を目指す。
・東京(日本)
56年ぶりの夏季五輪開催を睨む東京。最終プレンテーションは日本時間7日の22時30分からスタートされる予定であり、安倍晋三首相のほか、猪瀬直樹東京都知事が壇上に立つ。また高円宮妃久子さまもブエノスアイレスで招致活動を行っており、日本サッカー協会最高顧問川淵三郎氏も現地を訪れ、スピーチを行う予定になっている。
オリンピック・パラリンピックの招致に少しでも役立つためブエノスアイレスに行きます。東京オリンピックで対戦した今は解説者として活躍しているペルフーモさん、リーベル・プレートの監督をしているJリーグ初代得点王のラモン・デイアスさんと対談などをして現地のムードを高めるよう努めます。
— 心の東京革命推進協議会会長 川淵三郎 (@_kawabuchi) August 21, 2013
ブエノスアイレスで兎に角ベストを尽くします。アスリート宣言で短い文章だけど英語でコメントしなければならなくなったのはちょっとしんどい思いです。ラモン・ディアスに盾を送る時のスペイン語も覚えないと。
— 心の東京革命推進協議会会長 川淵三郎 (@_kawabuchi) September 2, 2013
今回のメインスタジアムになるのは、2019年に完成予定の新国立競技場。46件の一般公募の中から、イギリスのザハ・ハディド・アーキテクトによるデザイン案が採用されている。
こちらのスタジアムでは開会式や閉会式、またサッカー競技の決勝戦も行われる。今回、サッカー競技が行われる会場はほかに札幌ドーム、宮城スタジアム、埼玉スタジアム2002、東京スタジアム(味の素スタジアム)、横浜国際競技場(日産スタジアム)が予定されており、計6会場が使用される予定。
ちなみに従来通り出場資格が23歳以下であれば、1997年1月1日より後に生まれた選手が参加対象になり、2020年8月には、現在バルセロナのアレビンAに所属する久保建英選手が19歳を迎えている。従来通り23歳以下の出場であり、さらには久保選手が日本国籍を行使するのであれば、母国でその勇姿を確認することができるかもしれない。
さらに、2016年リオデジャネイロ大会からサッカー競技のアジア予選はホーム&アウェイ方式からセントラル方式へと代わり、これまでのようにスムーズに本戦へ勝ち上がることができなくなる可能性がある。
2022年FIFAワールドカップの招致失敗を受け、日本は今回の五輪に最大限の尽力を尽くしてきた。「高度経済成長の集大成」と表現された1964年の東京五輪から半世紀。ビッグシティ、東京の運命はいかに。
・マドリード(スペイン)
最終プレゼンテーションのトリを務めるのは、現在27%もの失業率を記録するスペインの首都、マドリード。
こちらはレアル・マドリーのホーム、サンチャゴ・ベルナベウがサッカー競技のメイン会場になる予定だ。五輪自体のメインスタジアムはマドリード市内のラ・ペイネタで、こちらは近い将来、アトレティコ・マドリーのホームスタジアムになることも決定されている。
2016年大会にも立候補していたマドリードは、この時ラウールを親善大使として起用。今回もメッシやテニスのラファエル・ナダルがマドリード開催を支持するコメントを発表するなど、多くの一流アスリートがマドリードで開催する意味を宣言した。
W杯予選のフィンランド戦が行われたにもかかわらず、『AS』の一面はこんな感じに。スペインでも士気は高まりつつあるようだ。
2020年五輪の開催地は、この後のIOC総会において97名の投票によって行われ、1度目の投票で過半数を超える都市が現れればその場でその国が当確。もし、1度目の投票で過半数を超える都市が現れなかった場合、票が最も少なかった国を除いた2ヶ国によって決選投票が行われる。
開催国の発表は日本時間の8日5時頃の予定。歴史的瞬間が、刻一刻と迫っている。
【参考資料】東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会
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