Q.手助けのために外部のタイポグラファーを連れてくるのはどういう時ですか?

A.
我々が通常行っていることではありません。しかし、この夏の大会(W杯)で我々はデザインにおける代表国の”誇り”の要素を拡げたかったんです。そうするには(外部からの招聘は)素晴らしい方法のような気がしました。

イングランドのフォントでネヴィル・ブロディとともに働けたことはものすごい名誉なことでした。彼は存命の英国のタイポグラファーのなかで最高のひとりであり、大のフットボールファンでもあります。

オランダ代表に向けたフォントに関しては、ウィム・クロウェルはNIKEのフレンドであり、他のプロジェクトで一緒に働いたことがありましたので彼を連れてくることは自然なことに感じました。

 Q.新しいカスタムメイドのフォントを開発するコストと時間をどう正当化したんですか?

A.
どの協会にとっても、選手たちにとっても、ファンたちにとっても、そしてその国のパスポートを持っている全ての人達にとって(4年に一度のW杯は?)頂点の瞬間です!デザインにおけるこの要素(フォント?)はそのチームを物語るうえで不可欠な部分だとみています。

Q.オリジナリティーと視認性(読みやすさ)とのバランスを保つためにどのような基準を用いたんですか?

A.
デザイナーとしての稼ぎどころです。まず、フォントはオリジナルかつ関連したものにならなければなりません。その国やチームに共鳴しているか?NIKEの全体的な方針に沿っているか?
選手、ファンと同じように共鳴する美しい独特のフォントを私たちは創りたいんです。
オランダのフォントの場合、我々はウィム(・クロウェル)の現代主義的なタイポグラフィルールに則りました。文字間は単に読みやすく定めることに重点をおきつつ、モダンな見た目にするという。

Q.実際に使用するためにフォントが満たさなければならないFIFAの規則は何ですか?

A.
ストローク(一角・字)の幅、色、読みやすさなど一定の要件を満たさなくてはなりません。ルールブックは相当に徹底していますが、あまりに難解で(審査を)通過できないとなったことはありません。

Q.一番好みのNIKEのフォントはどれですか?

A.
イングランドとオランドのフォントはとても誇りに思っています。でも、個人的には私が携わったひとつであるフランスのものです。

ITCのアヴァン・ギャルドはフランス代表のキャラクターに完璧にマッチしています。 通常よりワイドなフォントなので、新しいアウェイユニフォーム(marinière=ボーダー柄)で初めてそれを使った時、どの選手の名前も肩にかけての直線に収まり、ユニフォームの横線の間に直立することが確実になる文字の幅を見越しておかなければなりませんでした。

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