ティボー・クルトワの復帰以降、所属チームですっかり出場機会をなくしているあるレジェンドがいる。

ここ10年間のチェルシーの躍進を語る上で絶対に欠かせない守護神、ペトル・チェフである。

移籍市場最終日を迎えた現地時間1日、英国メディアは一斉に大型移籍の可能性がある選手の名を列挙した。

ラダメル・ファルカオ、ダニー・ウェルベック、アルトゥロ・ビダル、ダレイ・ブリント。そして、ペトル・チェフの名を挙げるメディアも決して少なくはなかった。

考えてみれば、当然である。

なにせ、チェフほどの実力者がベンチに座っているのである。チェルシー加入以降、おそらく初めて味わう屈辱にチェフ自身も歯痒い思いで新シーズンに臨んでいたはずだ。移籍の報道がされてもおかしくはない。

そして、移籍市場最終日のカウントダウンが始まった。

ダレイ・ブリントのユナイテッド移籍が決まる。ファン・ヒンケルのミラン移籍が決まる。宮市亮のオランダ復帰も決定した。さすがは“デッドラインデー"である。次から次へと移籍が決まっていく。

残り30分を切った時点で、チェルシーからの発表はなかった。デッドラインである現地時間午後11時はまもなくである。あと20分、あと15分、あと10分―。

その時だった。チェフがこんなツイートを投稿している。

"Blue is the colour!" …それが変わることはない。皆さん、おやすみなさい…

時計の針は午後10時55分をさしていた。英国のフットボールファンの胸の鼓動が最大限に弾む中、チェフは静かに残留を表明したのである。

それは、チェルシーファンにとってどんな薬よりも効果のある催眠術となった。翌日に仕事を控えていたファンの多くが、このツイートに胸を撫で下ろし、安らかに眠りについたことだろう。締め切り直前にこういうことをしてくるあたり、チェフはなかなかの役者である。

ちなみに、チェフが呟いた"Blue is the colour"とは、チェルシーが掲げる標語である。クラブのサポーターズソングにも同じ名前の楽曲があり、まさにクラブを象徴するワードを残留のメッセージに込めたのだ。

チェフにとってのチェルシーでの11シーズン目が、今始まろうとしている。

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