今季のデンマーク1部リーグを席巻しているチームがある。2部から昇格してきたホブロ(Hobro IK)だ。
昇格チームであるホブロだが、7節を終えてFCミッテュランに次ぐ2位につけている。 あのコペンハーゲンやブレンビューをも蹴散らした彼らだが実はセミプロ集団でもあるという。 『fifa.com』がそのサクセスぶりをありえそうもない“おとぎ話”だとして配信しているので紹介したい。
なんでもホブロの選手は全員、パートタイムで働いているか学生だという。つまりセミプロなのだ。 それは目下得点ランクでトップに立つFWマッズ・ヴィルソムも同様だ。 かつてはミッテュランでクラブ史上最年少デビューを果たしたヴィルソムは現在22歳。 デンマークU-19代表でもあった彼は2012年からホブロでプレーしている。(当初はレンタル)
そのヴィルソムはセミプロであることがクラブの強さの一部になっていると信じているという。
「去年結果を出せない時期を経験した。ゴール前でいくつかの決定機をミスし、自信を無くし始めた。その時、自分の勉強に集中できたことが嬉しかった。僕のことを知ってる人が誰もいない学校に行って、フットボールとは違うことを話せた。そのことでフットボールと距離がとれたし、よりいい選手にしてくれたと思う」
大都市の喧噪から距離を置くホブロは人口12,000人の街。これまではヴァイキングの城とル・マン24時間レースで9度の優勝を誇るレーサー、トム・クリステンセンの出身地として知られてきたそう。 そのホブロがある地域の人々は気楽かつ現実的なことで知られているそうで、そのことがチームスピリットを作り上げることに役立ったとチームを率いるヨナス・ダル監督は語っているという。
「誰もがお互いのために働き、100パーセント正直になれるこのクラブには信じがたいほどのスピリットがある。 それはピッチ上の全てのことが決定的な瞬間だと意味している」
ホブロの選手たちが互いに助け合っている証拠として、キャプテンのマッズ・ユステセンは家族とともに経営する大きな農場に新加入のエミル・ベルグレンを迎え入れたそう。そこでは牛に餌をやることが仕事の一部だとか。ベルグレンは笑顔でこう話しているという。
「(コペンハーゲン近郊から)ここにやってきた時、牛の世話をするだなんて考えていなかった。でも、ここには農場かロッカールームかに関わらず皆お互いに助けあうという文化がある。それがこんなにも強いユニットをこのクラブにつくるのに役立っているんだ」
「シーズンが始まった時、僕らはトータルでたった勝ち点10しか得られないだろうと評論家たちは言った。でも、彼らが間違っていたことを僕らはすでに証明した。クラブは成功している。現在僕らは2位にいて、シーズン終わりにはトップにいる予定さ。チャンピオンズリーグでプレーしたいね」
そんなセミプロ集団の驚くべき躍進はデンマークの人々の心をキャッチしたようで、なんでも開幕から2か月ほどでホームユニフォームが売り切れになるほどの人気ぶりだそう。
『tv2nord』によると、担当者のヘンリクさんは「ユニフォームを欲しいと願う多くの順番待ちの方がいます。寄せられた関心は圧倒的なもので、多くのファンの望みに応えることが我々にとって大事なことです」と話しているという。
12チームが競うデンマーク1部リーグは始まったばかり、シーズン終わりにはどのような結末が待っているのか楽しみである。