11日のアルゼンチン戦、14日の日本戦に向けたブラジル代表に追加招集され、2013年3月以来の1年半ぶりの代表復帰を果たしたカカ。先のアルゼンチン戦では後半38分から登場し、代表88cap目を記録した。

今季はオーランド・シティからのレンタルという形でサンパウロでプレーをしているが、二桁得点を4度記録した第一次ミラン所属時(2003~2009年)を動画で振り返った。

カカの強みは、一言で言ってしまえばフィジカルとテクニックの融合にある。ユース時代はテクニックがある反面、フィジカルが弱く補欠に甘んじていた時期もあったというが、それを克服したカカはミラン加入時にミランラボの一員に「今までに見たことがない」という加速力の記録を叩きだしている。一方で、高いテクニックも“魅せるが無駄になる”様な見栄え重視の技は控えめ、如何に最短距離で如何に早く相手ゴールまで迫れるかを重視した直線的なドリブル、スピードの速いスルーパスを武器としている。いわゆる状況判断に長けサッカー脳に優れた選手がスピードや抜群のバランス能力も持ち合わせた結果、ドリブル、パス、シュートすべてに期待ができたのである。

それまでのサッカー界では、ファンタジスタと呼ばれるテクニックの高い選手はどちらかと言えばフィジカルは弱く運動量やスピードにも難がある選手が多かった。一方で、フィジカルがある選手は、例えば強いだけ、足が速いだけ、身体能力はすごいけど状況判断が・・という一芸に秀でている選手が多く両方を兼ね備えた選手はほとんどいなかった。

カカが有名になった2000年代初頭はキャプテン翼でも「ファンタグランディスタ」という単語が登場し、翼はファンタジスタの要素とグラディエイターの要素を掛け合わせた存在を提唱した。ブラジル代表MFリヴァウド、フランス代表MFジダンらと共にこの存在に、当時、現実世界で一番近づいたのが、カカと言えるだろう。

2006年W杯、クロアチア戦

2007年のチャンピオンズリーグ決勝・リヴァプール戦

2006-07シーズンのチャンピオンズリーグでは10得点をあげて、ミラン優勝の原動力となるとともに得点王に輝いた。カカの元には毎年100億を超えるオファーが届いた。2007年にレアル・マドリーが8000万ユーロ(約130億円)、2009年1月にはマンチェスター・シティが1億ユーロ(約120億円)を提示、最終的には2009年の夏にレアル・マドリーが6800万ユーロ(約92億円)で獲得を果たした。2003年にサンパウロからミランに移籍した時の移籍金は850万ユーロ(約12億円)であった。

ちなみに、ブラジル代表ではそれまで魅せるドリブラーは多かったが、カカの様なソリッドなテクニックを持ち味とした選手はほとんどいなかった。しかし、今ではオスカル、ルーカス・ピアゾンをはじめとして効率的に状況判断をしクレバーにプレーする高いクオリティーをもった選手が次々と現れている。カカがもたらした影響と言えるだろう。

最後にカカが現代最強の“ファンタグランディスタ”の1人クリスティアーノ・ロナウドと自身を比較した言葉で締めくくりたいと思う。

「彼の持ち味は技術、僕の持ち味はスピード。相手からボールを奪う際、クリスティアーノは体をぶつけようとするけど、僕は足を大きく投げ出そうとする。ドリブルのスタイルも全く違う。僕の強みは0.1秒でトップスピードに到達できることだ。一方で、クリスティアーノは僕よりも優れた得点感覚を持っている」

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