ブラジルでも期待された逸材、しかし…

経歴ではオビナ以上、プロでの実績ではアデミウソンを遥かに凌駕し、コルテースのようにセレソン経験はないものの、ビッグクラブでの一時期の活躍度はその予備軍の位置には達していたと言える。しかしその彼がなぜ特に話題になることもなく、J2の舞台にいるのだろうか。

もちろん兄の影響もあるが、何よりキャリアの急降下によるものであろう。

ポルトガルではリエジソンやジョアン・モウティーニョらと競演したが、前頁の動画で紹介したゴールのように時に才能は見せながらもあまり成功することは出来ず、出場機会を失って国内へ復帰。それから2010-11シーズンにはロシアリーグにも挑戦したが、こちらも活躍は出来なかった。

以後はナウチコ、クリシウーマ、ブラジリエンセ、リネンセと母国のローカルクラブを少しずつディビジョンを下げながら渡り歩いたが、特に目立った結果も残せず、2014年末に兄のツテでモンテディオ山形の練習へ参加。その縁もあって今年初め、FC岐阜に加入したのである。

話題になっていない理由はこっち?

ブラジル時代のロドリゴをよく知る筆者だが、実は彼がJ2に加入していたことに気付かなかった。一応弁明すると、彼が一般的には「ロドリゴ」ではなく「ロドリゴ・チウイ(Rodrigo Tiuí)」として知られていたためだ。

以前Qolyではジェイ(ボスロイド)の登録名に関する記事をお届けしたが、ごまんといる「ロドリゴ」ではなく世間的に名の知れた「チウイ」には出来なかったのだろうか…(そのせいかどうかは分からないが、ポルトガル語版のウィキペディアにさえ、現所属が載っていなかったりする)。

因みに彼がサントス時代に“アンリ"と呼ばれたのはそのプレースタイルもあるが、おそらくアンリの名前と姓を合わせた“Thierry Henry"(ティエリ・アンリ)と、“Tiuí Henry"(チウイ・アンリ)の語感が似てていたためだと思われる。

必ずしも肯定的に使われていなかったのだが、ロドリゴ自身もアンリのことは意識しているようで、今年の岐阜のプロフィールには好きな選手が「アンリ」となっている。

岐阜での展望は?

長らく一線級の舞台から遠ざかっているだけに、彼がラモス体制2年目となる岐阜の救世主となれるかどうかは正直分からない。

“重い怪我がキャリアを妨げた"という情報もあるが定かではなく、また、最近目立った結果を残していないといっても元々得点力のないタイプで、動画を見るとそれなりに動けているようである。はっきり言えることは、ブラジル時代は爆発力より使い勝手の良さが評価を受けており、札幌へ移籍したナザリトとは全く違うスタイルだということだ。

先週行われた岡山との開幕戦ではベンチにも入らず、チームもアウェイで完敗を喫した。その事情が実力かコンディションなのかは存じ上げない。しかし、他の“大物外国人"同様、かつてアンリと比較されブラジルでも期待されたチウイを注意して見ていってほしい。

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