熱狂的なサポーターで知られる松本山雅。今年、初のJ1昇格を果たし、そのホーム開幕戦となった広島戦。17091人の観客が盛り上げる中、開始早々の7分に広島のMF、柏好文が先制点を決めた。
左サイドから切れ込んだ浅野拓磨がシュート。松本DFに防がれたものの、そこから局地的な2対2になった場面である。
注目するのはこの4人。広島側がボールを持った柏とパスを出した浅野、松本側は4番の飯田真輝と3番の田中隼磨が対応している。
ここでクレバーなプレーを見せたのが、U-22日本代表の浅野だ。
分かりづらいが一瞬右を見てスペースがあることを確認すると、
腰を落として左の飯田をブロック。柏が得意のドリブルで切れ込みゴールまで持ち込んだ。
これはバスケットボールでお馴染み、2対2の局面でマークのズレを作り出す「ピック&ロール」の形だ。
簡単にいえば一人が壁役(スクリーン)となり、ボールホルダーの味方に付いたマーカーの邪魔をすることでギャップを生み出すプレー。サッカーではバスケほどあからさまにはできないが、今回のようにさりげなく行うことで味方を助けることができる(一番頻繁に見られるのがセットプレー時)。
ただ、今回のプレーがゴールに繋がった要因については、広島の二人がそういった創造力を持っていた一方、松本、特に後方にいた田中がその発想に至っていなかった点も見逃せない。
柏が右利きということもあってか重心は明らかに左を向いており、カバーに入ることができず“花道"を開けてしまったことが直接失点に繋がった。
発想といっても前述のようにバスケットボールでは非常に一般的なプレーであり、メカニズムを把握していれば防げた可能性は小さくない。最終スコアは広島の2-1。DFのちょっとした判断ミスは勝敗に大きく影響する。
最後にこの試合のハイライトを。
アウェイで松本を下した広島は、浦和、鳥栖とともに開幕2連勝を飾っている。