下剋上率はおよそ30%
全47試合中で、下部のリーグに属するチームが上位リーグと当たった試合は31試合あった。そのうち、勝利したケースは全部で10試合、率にすると30%ほどになる。とはいえ、そのうちの5試合は國學院久我山であり、いかに今大会のチームが快進撃を示したかがわかるだろう。
さらに言えば同じ東京の駒澤大高と合わせて8試合に達する。実際に半分のブロックでは“下剋上”が1試合も起きておらず、1発勝負といえど今の高校生年代では上位をひっくり返すのは難しいようだ。
下剋上が起きた10試合
※太字が勝利チーム
開幕戦:駒澤大高(東京都1部) 2-1 阪南大高(プリンス関西)
1回戦:藤枝東(プリンス東海) 0-0(PK3-4) 香芝(奈良県1部)
1回戦:尚志(プリンス東北) 1-0 京都橘(プレミアWEST)
1回戦:國學院久我山(東京都1部) 1-0 広島皆実(プリンス中国)
1回戦:明秀日立(茨城県1部) 2-1 四日市中央工(プリンス東海)
2回戦:駒澤大高(東京都1部) 0-0(PK3-0) 尚志(プリンス東北)
3回戦:松山工(プリンス四国) 1-2 駒澤大高(東京都1部)
3回戦:神戸弘陵学園(プリンス関西)1-2 國學院久我山(東京都1部)
準々決勝:國學院久我山(東京都1部) 1-0 前橋育成(プリンス関東)
準決勝:青森山田(プレミアEAST) 1-2 國學院久我山(東京都1部)
10試合中2試合はPK戦によるもの、残りの8試合も勝利チームはすべて1失点以内に抑えている。下部のリーグが勝つ鍵は、堅実な守備により相手チームに焦りを呼ぶこと。そうして、できた相手の隙につけ入ることは勝利の必須条件とも言えるだろう。
キーワードは“勢い”と”継承”
一発勝負のトーナメントとなれば、世界最古のカップ戦FAカップでも下部のクラブチームが勝ち進むことはある。高校生年代になればよりその傾向が強く、勢いに乗れるかどうかが“下剋上”を起こすキーワードになるようだ。また、リーグ戦と違い1都道府県で1つの代表チームしか認められていない。例えば、千葉県では最高峰のリーグ戦であるプレミアEASTに流通経済大柏高校、市立船橋と2校が存在している。今大会予選では流通経済大柏が涙を飲んだ。大阪では、同プレミアWEST所属の履正社高校が予選でPK戦の末敗れている。
そもそも、リーグ戦は4月から12月まで行われている。つまり、一学年上の“先輩”達が残した順位戦の結果を後輩が引き継ぐ形になる。プロのサッカーチームと違い、最上級学年である高校3年生のメンバーは全員が卒業する。となれば、1年後には実力が落ちてもプレミアで戦うこともあれば、実力が滅法あがったのに低いディビジョンでプレーしているチームもあるだろう。
さて、第95回大会ではどのようなドラマを見せてくれるのか。今から楽しみである。