横浜FCからホアン・アイン・ザライ(HAGL)に移籍したMF井手口正昭(28歳)は、ここまで開幕3試合フル出場で、早くもチームにフィット。若いチームを牽引する重要なファクターとなっている。
(C) bongda, 井手口正昭(右)
当初、多くの専門家がこの移籍について、クラブ間提携の一環で、ビジネス的な意味合いが強く、戦力的補強としては疑問としていたが、横浜FCに期限付き移籍したU-23ベトナム代表MFグエン・トゥアン・アインの穴を埋めるに十分な活躍をしており、結果で世論を黙らせている。
平均年齢22歳とリーグ最年少で若手が多いHAGLは、日本から来た28歳の中堅選手を温かく迎え入れた。HAGLの若手らは、井手口が早くチームに溶け込めるようにと、トライアル中からピッチ内外で色々と世話を焼いた。そのかいあってか、井手口はHAGLとの1年契約を勝ち取ることが出来た。
ベトナム生活に適応できず、調子を落としていく外国人選手は多いが、井手口は既に問題なく適応しており、庶民の味であるバインミー(ベトナム風サンドイッチ)やフォー(ベトナム風うどん)を好んで食べているという。自ら歩み寄るということは、チームに馴染むためには必要不可欠。若手らとはしゃいでいる姿は兄弟のようだ。
実力を疑問視する声も杞憂に過ぎなかった。テクニック、フィジカル、戦術理解、メンタル、いずれも文句なしの出来で、ボランチとしてうまく機能している。第3節では、終盤に交代したDFブイ・バン・ロンに代わってキャプテンマークを巻くなど、既にチーム内での信頼も厚い。
また、井手口はファンの間で「リー・グエンの再来」とも呼ばれている。
リー・グエンはベトナム系のアメリカ代表MF。2009-2010年に同クラブに在籍し、Vリーグにやってきた最初のアメリカ人選手となった。その後アメリカに戻り、MLSで18ゴール5アシストを記録した2014年には、年間MVPの最終候補にも残っている。
小林大悟のチームメイトとしても知られるリー・グエン
理想的な補強に成功したHAGLは現在、1勝1敗1分の勝ち点4で4位につけており、まずまずのスタートとなった。昨季は経験不足を露呈し、ずるずると順位を落としていったが、今季はどこまで順位を伸ばせるのか見ものだ。
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