柴崎岳は岐路に立っている。
この若き司令塔について、今更説明は不要かもしれない。青森山田高校時代から注目を集め、卒業後に入団した鹿島アントラーズでも若くして主力として活躍してきた。今シーズンからは背番号10を託され、より一層の活躍が期待されている。そして、日本代表においては、遠藤保仁の後継者候補のひとりだ。
柴崎のサッカー人生は、端から見れば順風満帆だと言える。だが、柴崎はあるジレンマを抱えている。今回の当コラムでは、あえてそこに触れていきたい。
言わずもがな、柴崎はボランチの選手である。正確なパスワークを活かし、司令塔としてゲームをコントロールするのがプレースタイルだ。その一方で守備面、特にフィジカルに課題を抱えている。ボールを奪い切る力は決して高いとは言えない。
もっとも、柴崎は学習能力の高い選手だ。苦手としていたボールホルダーへの寄せに関しては、着実に成長を遂げている。また、運動量も増加傾向にあり、様々な局面に関与できるようになった。
しかし、日本代表として世界の舞台で闘うには、まだまだ水準には届いていない。ハリルホジッチから声が掛からなくなった理由はそこに潜んでいる。